出会い-4
警戒していた通りあたしは三人のディフェンダーに阻まれる。
『(させない)』
そう思ったと同時に背後に回った千鶴にパスを回しあたしは、反対側へ。
ボールの移動に一瞬翻弄した相手の隙を突くべく、確実な射程距離にて千鶴のボールを受け取る。
その勢いを殺すことなくあたしはリンクへとボールを乗せていた。
そして、練習試合が終わった。
今日は調子がよかったみたいで部長も機嫌がよさそうだった。
心地のいい汗をかいた後、あたしは千鶴と一緒に部室に行った。
『お疲れ。彩夏。最後のやるじゃん。さっすが彩夏だね』
汗をタオルで拭きながら、千鶴はあたしの横で着替え始めた。
『千鶴がいいパスくれたからだよ。』
ちなみに、自分で言うのもなんだが、そこそこの実力があるから、朝の部活に参加できないのも黙認されている。
まあ、逆に言えばあたしがちゃんとしないといけないんだけどね。
『うん。ありがと。でも、彩夏が朝錬に参加してくれればもっと強くなれるのにもったいないなあ。』
『あはは。だってほらあたしが強くなりすぎちゃったら、千鶴の出番なくなっちゃうわよ』
『冷やかさない』
千鶴がじと目になってあたしを見つめる。
彼女はこういうことには真剣なので、からかうと後が怖い。
だがその時、千鶴の目線が柔らかなものになった。
「なっ何!?」
あたしは予想外の様子にどぎまぎしていると、背後からの違和感に気づく。
『ふっふん。ちゃんと反省しない悪い子にはお仕置きが必要かしら』
あたしは胸に触れた千鶴の手に驚く。
『ひゃあ。馬鹿。千鶴。何やっていんのよ。』
千鶴の手があたしの胸を包む。
『うん。うん成長しているね。』
なぜか一人うなずきながら、腕を組んで慌てふためくあたしの様子を楽しんでみているようだ。
『もう。セクハラで訴えますよ』
そう言うと、なぜかまだ満悦した顔であたしを見ていた。
『あたし女の子だもーん』
そう言うもんだから、あたし言ってやりましたよ。
『痴女・・・』
さすがに冗談にならないので、千鶴は顔を真っ赤にしていた。
『ちっ痴女!?彩夏あんたね。世の中には言っていいことといけない事が・・・』