朔太郎とサクミ-3
「一回じゃわからないかな?じゃあ、今度は、左右、両方ゆっくり回るからね。」
画面の向こうでサクミが、今度はさっきよりもゆっくりと右回転をし始めた。
(スカートの……後ろ……なんだ、気のせいか。あ〜、びっくり……?
えt?今、ブラウスの中、見えた?何、あれ。小さい、豆みたいな。)
「じゃあ、今度は反対まわりで〜す。サービスで、スピードを変えて三回転。」
サクミが勢いよく左回りした瞬間、
スカートのヒダとヒダの間から、白いものが見えた気がした。
(やっぱり。切れ込みが入ってる。パンティー?いや、もう一度……。)
(えっ?前も?スリットが……?!?!ワレメ……。)
視線を上げると、サクミのブラウスの前は完全に開け、乳房が丸出しになっていた。
「サ、サクミ、ちゃん、あ、あの、さあ。」
「どう?ちゃんと見てくれた?
あ、そうだ。次は朔太郎君の番ね。」
「いや、あのさあ、サクミ、ちゃん。ちゃんと、見えちゃっ……。」
「え〜と。朔太郎君のこと、サクミ、実は結構知ってるんだよ。
ほら、お母様と電話で話した時、結構いろんなこと、聞いちゃった。
高校2年の時になんか学校に行かない時期があって、
昼間はずっと家で寝てて、夜中によく出かけることがあったとか。
それから……あ、そうそう。サクミの写真を撮ってくれた頃、
休みになると結構遠くの中学や高校の文化祭に出かけて行って、
たくさん写真撮って帰ってきて、現像室にこもりっきりで心配したとか。」
「あ、あのさ、サクミ、胸が丸…。」
「うん。中野丸町の方まで出かけたんだってね。」
「あ、いや、そうじゃなくって。膨らみ……。」
「ふくらはぎが?そっか。痛くなるくらい歩き回ったんだ。
写真命!だね。朔太郎君。」
「いや、スカートも……。」
「あ、よく知ってるね。
そうなの。ほら、サクミの写真、撮ってくれた後、
その写真が写真館に飾られてでしょ?
あの写真を見ましたって言うスカウトの人に声かけられたんだ。
モデルになりませんかって。
サクミ、自分でもそう言うお仕事やってみたいなって思ってた頃だったから、
ちょっと気にはなったんだけどね。
でも、そういうスカウトって、なんか心配でしょ?
ほら、実はAVだったとか、無理やり脱がされて、とか。
だから、ちゃんとした、名前が知られたプロダクションとかのオーディションを、
受けようかなって思ったこともあったんだ。」
「サクミ。あの、肌が、露出しちゃってて……。」
「うん。それは覚悟したよ。
ちゃんとしたグラビアや映画だって、肌を露出するのって、普通だものね。
でも、騙されてそうするのとは全然違うでしょ?
自分が納得できているのなら、いいのかなって思ってさ。」
「あの、サクミ。露出……。」
「うん。やっぱり有名になってマスコミとかへの露出度が上がってくれば、
いろんな役とかができるチャンスも増えるかなって思ったし。
朔太郎は諦めた。
いや、諦めたというよりも、本人が特に気にしていないのなら、
むしろこちらも気が付かないふりをして、十分に堪能すればいいだけのことだ。
「サ、サクミちゃんの、奥の、普段、隠れてる部分、けっこう見えて…来たよ。」
「ホント?サクミの本当の姿、見えてきた?
よかった。やっぱ、こうやって話をするのって大事だよね。
あ、ごめんね。わたしばっかりしゃべっちゃって。
はい、今度は朔太郎君が見せてくれる番だよ。
さっきわたしがしたみたいに、クルッて回ってね。期待してるから。」
サクミはそう言って、スマフォのカメラに顔を近づけた。
サクミの顔がドアップになって、画面いっぱいに広がった。
(これってほぼ実物大だろ?なんかじっと見られてるみたいでかえって恥ずかしい。
それに、期待してるって何を、だ?
クルッと回って魅力的なのはユズ君くらいだろう。)
朔太郎は声を失った。
(どうしたもんだ?そうか、いっそのこと、素直に聞けばいいか。)
「あ、あの、サクミ、ちゃん。」
「なあに?」
ほぼ実物大のサクミがおよそ30pの距離で微笑んだ。
(か、可愛い。)
「あ、あのさあ。何を期待してる、のさ?」
「なにをって?あ、そういうことか。え〜と。朔太郎君の、本当の姿。」
「うん。それはわかるんだけど、
具体的には、どんなものを期待してるのかなって思ってさ。」
「え〜?だって、サクミだって、さっき、見せたでしょ?本当の姿。」
「あ、いや、その、クルって……。
で、チラって、で、ツンツン、で、ツルツルがパックリで……。」
「さすがカメラマン志望だわ。目がいいって言うか、動体視力がいいんでしょうね。
だったら、朔太郎君も……。わかるでしょ?」
(そういうことか?そういうことなのか?)
朔太郎は意を決した。
(1週間の同居が始まって1時間ちょっとで、
ハイ終わり〜ってなっても、それはそれで仕方ない。
今のやり取りで、オレが理解したのは、こういうことなんだから。)
(サクミのスマフォ画面には、困り切ったオレの顔が写っているはず。
だったら、こうしてやるか。)
朔太郎はパソコンのリモートカメラに思い切り顔を近づけた。
「朔太郎君。近すぎ。真っ暗になっちゃったよ。」
(確かに。これじゃあオレが身動き取れないじゃないか。)
(そうか。カメラを覆っちゃえばいいか。その間に……。)
朔太郎は履いていた靴下を脱いで、リモートカメラを覆った。
「ただいま準備中です。少々お待ちください。」
「うふ。何を準備してるのか、楽しみ〜。ねえ、期待を裏切らないでよね?」