『THE ENDLESS』外伝〜光羽編第二章-1
Somisiae結成から早くも二ヶ月。その頃にはまたメンバーが増えていた。その名は蓬莱。山伏みたいな格好をした奴だ。
「今日は他のギルドに寄らなければならない。颯葉を連れて行くので他は留守を頼む…と言ってもする事は無いか、俺と蓬莱がトラップ張っといたからな」
最近はギルド襲撃も少なくないらしい。因ってトラップを張るギルドも増えた。これから行くギルドもきっと同じだろう。
「行くぞ颯葉」
「うむ」
これから行くギルドのマスターの名前は恕庵(じょあん)だ。江戸時代の人間から取ったらしい。
恕庵は門前で待っていた。
「宜しく」
恕庵は紙片を差し出しながら挨拶をした。
「名刺?」
「最近中央局で作れる様になったらしいです」
「それは便利な」
名刺にはこう書いてあった。
『ギルド飛雲マスター恕庵(じょあん)目的はクリア』
「クリア?このゲームにそんな概念があったとは知らなかった」
「あったんですよ。今ではクリア者が出ないって事でこのゲームは『THE ENDLESS』って呼ばれてるらしいです」
「何か開発者の陰謀を感じるな…」
「ま、取り敢えず入って下さい」
俺達は中を案内してもらった。武器保存室―会議室―連絡室―3号室。
「颯葉…あれは…」
「同じだな」
ただしこっちは3だ。一体どんな意味が…?
「どうかしましたか?」
「そう、この3号室って部屋が…」
「うちにもあるんです」
「!そうなんですか?」
「正確に言うと5号室だが…調べてみても良いか?」
「良いですけど、何も無いですよ…」
確かに何も無い。と思ったその時、テーブルの上に画面が現れた。使い方間違ってるがデジャビュだ。
『隠し部屋サービスを開始致しました。使い方次第でとても役に立ちます』
「なるほど。意味不明な部屋の名前はカモフラージュのつもりか?よく分からんが、とにかく使い方が解った」
「では本件へ移りましょうか」
「簡潔に言う。合わせて500Eで買い取らせてもらう。それ以上は出さん」
「そこを何とか」
「嫌だと言うなら買わん」
「……仕方がないですね」
恕庵は二つの包みを取り出し、颯葉に渡した。
「どうぞ中身を確かめて下さい」
颯葉が包みを開くと、鈍く輝く刀が姿を表した。
「うん、なかなか良いぞ。で、金は誰が出すんだ?」
「颯葉もレベルが上がってきたしな。これは俺からのプレゼントだ」
「光羽……折っても怒らないでくれるか?」
「……できるだけ大切に使ってくれ」
ともあれ、商談成立。俺は代金を支払い、飛雲を離れた。
「ありがとう、光羽。お前にこんな気遣いができるとはな」
「それは貶してるのか?」
「褒めたつもりだ」
「あっそう」
俺はギルドに戻ると、まず目の前で繰り広げられている光景に驚いた。