女らしく【04】『真夏と納涼と怪談』-1
この日本という島国独特の首筋などに纏わりつく様な湿気と暑さを孕んだ夜…
これはいつものメンバーと寮の談話室で暑い、暑いとしきりに騒いでいた時のこと……
「皆サン!夏から連想するモノと言エバ?」
オレは今、博士からいきなりそう言われ、悩むというよりは呆気にとられているところである…
「そうですねぇ……お祭り?」
律義にも晴樹が答える。
でも、そんな普通の答えで博士が納得なんかするはずは……
「違いマース!」
やっぱりな…
「じゃあ、海!私、お姉様の水着見たいですぅ♪」
行かねぇよ!オレ、水着を見られるの好きじゃねぇし。
……でも、大和になら見せてもいいかな…
「それも違いマース!やはりJAPANの夏と言えば……」
言えば?
「怪談デース…」
…マジかよ………
「あのねぇ、博士…普通の人々ならともかく、ワタクシ達ですわよ!」
「陰陽師」
「吸血鬼」
「人造人間」
「人狼」
「挙句の果てには狂科学者まで」
ぐるりとオレ達を見回して奏は続ける。
「他の人達にしてみればワタクシ達自身が怪談ですわ」
確かに…狂科学者が怪談になるかどうかは知らないが…
「そうだよな、俺達…幽霊も見慣れてるしな」
「…でも、若干2名ほど顔色が良くないみたいデスヨ♪」
そう言って晴樹と……オレを見る…
「…まさか、マコト……怪談話がまだ苦手なのか?」
ば、馬鹿!余計なことを!
「そうなんですの、マコト?うちのヘタレ晴樹は前から知っていましたけど……」
「ち、違うぞ!…昔はそうだったけど…今はもう大丈夫だ!!」
大丈夫…もうたくさんの幽霊も見慣れてる!
「じゃあ、決まりデスネ!」
「まあ、いいですわ。うちのヘタレにもいい薬になりそうですし♪」
「ひぃ……」
そう言って奏は吸血鬼に相応しい邪悪な笑みを零す…
「マコトはどうすんだ?」
「大丈夫!…だと思う……」
「なら、今夜の午前零時…この談話室に集合デース…」
「マコト、本当に大丈夫ですの?」
場面は変わってオレと奏の部屋。ちなみにオレ達はルームメイトだ。