女らしく【04】『真夏と納涼と怪談』-2
「多分……」
「それならマコト、これはある意味チャンスですわ」
チャンス?
何のだよ?
「怪談話なら当然辺りは暗くしますでしょ?」
まあ、そうだな…
「だったら、怖がる演技か何かをして大和にくっつけばいいんじゃありませんの?」
大和にくっつく?
「そうですわ。例えば手を握るとか……腕にしがみつくとか……何だったら抱き付いてそのまま押し倒してキスでもしたらどうですの?」
……ええぇぇえ!…大和を押し倒して……き、キス……
「マコトは奥手なんですからこういう機会に発展させるしかないんですのよ。
何なら、ワタクシ達は何処に行きますわ」
大和に…抱き付く……
大和に…キス……
「マコト、聞いてますの?」
大和…押し倒して…キス……で、そのまま………
いや!違うぞ!オレ達はそんな……まだ早いよ……
…でも、大和となら…
大和と…抱き合って……
…大和…大和…大和…
「はぁ〜、聞いてないみたいですわね…」
そんな感じで、いつの間にやら午前零時。
草木も眠る丑三つ時よりも少し早い時刻だが…雰囲気はバッチリだ……
「皆サン…今宵はよくぞ集まってくれマシタ…」
談話室の中は四隅に蝋燭と燭台。
中央には大和の宵闇が揺れる蝋燭の火を抜き身の刃に映している。
「形式は百物語風ですが、マコトと晴樹に配慮して四話のみとしマース…」
「わーい!」
パチパチパチ…
場違いな詩乃の歓声も完全に辺りに飲み込まれている。
「では早速、ミリィ…」
「はい!これはあるホテルの話です……」
そう言ってミリィが話だす…