お義父さんの立派-2
全てを母任せで靴下からパンツの世話までなっていて、母に文句ばかりを言っている、どうしょうまもない親父だと改めて思いました。
そんな義父に私は嫁として尽くさなければと何時も思って暮らしていました。
ある日、庭の松の木を手入れしてる義父に
「お茶がはいりました」
義父の好物と辰雄から聞いていた和菓子をお茶受けに少し渋目の緑茶を縁側に出して義父と一緒に飲んだ。
「久しぶりに美味しいお茶を飲まして貰ったよ。この菓子も好きだったけど一人で食べても美味しくないからね」
そんな義父の言う事を聞きながら私は思いきって前から思ってた事を尋ねた。
「十年前にお義母さんに先立たれてからお義父さんは不自由されたでしょ、辰雄さんはもう大学生で下宿されてたから、その点は良かったかも知れませんが、再婚は考えられなかったんですか」
「そうだね。常子は身体が弱かったから、病気になる前から洗濯や掃除は私がしてたんだよ。ご飯だけ妻に造らせてたけどね」
「マァ、洗濯もされてたんですか?道理で手際が良いな〜って思ってたんですよ」
「良子さんも忙しい時は遠慮なく言って下さいよ、案外洗濯は好きなんだよ、綺麗になるのは楽しんでね」
「まさか〜お義父さんに洗濯までさしたら鬼嫁と言われてしまうわ」
「それは他人が勝手に言う事だよ、どこの家族にも家族の都合があるもんだ」
本当は私は義父の性欲の事を聞き出したかったが流石にそこまでは聞けなかった。
五十才そこそこで妻を無くした男がどうやって性欲を満たしていたのか?疑問だった。
同居を迷ったことも、その一点にあった。
しかし、
そんなことを話した後に実際に義父に洗濯させる事態に陥った。
実家の母が朝早くから電話してきた。
「良子、お腹が痛いの!来てくれない、一人じゃ不安なの〜」
しょうがない母だ。
どちらかと言うと愚図な母で父に怒鳴られながら言うがままになっているのもわかることもある。
辰雄にいうと、行ってやれと言われて洗濯を干している義父に言うと
「良子さん、それはお母さんが心細いんだろうから、先に急病車に乗って病院に緊急で入らせなさい、それでアンタも直ぐに行ってあげなさい、あとは私がしとくから」からとキビキビと指図されてやっぱり一流企業で管理職まで勤めていた人だと思い知らされた。
義父の言うとおりに実家の父に緊急車で緊急入院させてと伝えた。
それから車で一時間余りの時間をかけて病院に駆けつけた。