侵入者-2
足元から震えが立ち上り、心臓がドキンドキンと激しく鼓動を打った。
「リナちゃん、手紙は読んでくれた……?」
「……!」
震える手でどうにか電話を切ると、リナはその場に座り込んでしまった。
(やっぱり……ずっと見られてたんだ……! どうしよう、どうしよう……怖い……!)
座り込んだままガタガタと震えていると、アパートの廊下を誰かがゆっくりと歩く足音が聞こえてきた。それが誰のものなのか、見なくてもリナには分かってしまう。
(やめて……こないで……お願い……!)
震える体を両腕でギュッと抱きしめ、息を殺して縮こまる。
コンコン……コンコン……
何者かが玄関のドアをノックする。
コンコン……コンコン……コンコンコンコンコンコン……
様子を窺うような小さなノックは、次第に苛立ちも露わな小刻みに変わっていく。リナは両手で耳を塞ぎ、怯えながらドアを見つめていた。
しばらくすると、フッと諦めたようにノックの音が止んだ。
(いなくなった……?)
心臓が早鐘を打ち息が苦しい。胸を押さえながらよろよろと立ち上がり、リナは恐る恐る玄関へ近づいてみる。勇気を振り絞ってレンズを覗くと、ドアの向こうには誰の姿も見えなかった。
(誰もいない……良かった……)
小さく安堵の息をつく。諦めて帰ったのだろう……そう思いたい。でも、もしも帰っていなかったとしたら。息を潜めてこちらの様子を窺っているのだとしたら……。
本当に誰もいないことをどうしても確かめたくて、リナはドアチェーンをそっと外し、震える手でそろそろとドアを開けた。
僅かな隙間から顔を出して廊下を見渡したその瞬間、ドアの向こう側から人影が飛び出しリナを抱き竦めた。悲鳴は恐怖で声にならなかった。
「会いたかったよリナちゃん……」
電話と同じ声が耳元で低く囁いた。
身体を捩ってどうにか逃げようと頑張ったが、リナの腕力ではどうにもならなかった。そのまま部屋の中へ押し入られ、丸めたタオルのようなものが口に詰め込まれる。
「んむっ……! んぐ、んんっ……!」
「やっと会えたね……。ダメだよ、暴れないで……」
カチャカチャと乾いた音がして、リナは後ろ手に手錠を掛けられてしまった。プラスチックの作り物だろうが、簡単には外せそうもなかった。
リナはドサリとベッドに投げ出される。恐る恐る顔を上げると、見たこともない男が不気味な笑みを浮かべてリナを見下ろしていた。
男はジリジリと間合いを詰め、リナはベッドの上を後ずさった。壁まで追い詰められ逃げ場を失ったリナの足首が掴まれる。そのまま脚はゆっくりと左右に開かれて行き、スカートが太腿の付け根まで自然と捲れ上がった。
(いや……! やめて……やめて……!)
これから見知らぬ男に何をされてしまうのか、答えは火を見るより明らかだ。怯えながら首を振るリナのことなどお構いなしの様子で、男はニヤニヤと笑いながらリナの下半身を観察するように眺めている。
(誰か助けて……!)
どんなに心で叫んでも、誰かに届くはずもない。恐怖で身体が硬直していくのが分かる。
手の自由を奪われ、脚をMの字に開かされて、リナにはもうどうすることもできない。あまりにも惨めな格好と、これから自分の身に起こる出来事を考えると、恐怖と屈辱で目に涙が滲んだ。
男は下卑た笑みを浮かべたままリナににじり寄り、開かれた両脚の間に陣取る。そしてリナの胸をブラウスの上から両手でギュッと強く掴んだ。
「んんっ!」
遠慮のないその手つきにリナは思わず声にならない叫びを上げ、必死に自由の利かない身体を捩る。
「痛かった……? ごめんリナちゃん、優しくするよ……」
そう言うと、男の手は一転してソフトなタッチで胸を触り始める。感触を楽しむように男が太い指をウネウネと動かすと、リナの胸の膨らみは従順に形を変えた。
「あぁぁ……柔らかい……リナちゃんのオッパイ……」
男はうっとりと上気した顔で独り言のように呟いた。
「んっ、んん……っ!!」
嫌悪感で一瞬にして全身に鳥肌が立ち、リナは髪を振り乱しながら呻き声を上げる。
胸の感触をしばらく楽しんだ後、男はリナのブラウスのボタンを一つずつゆっくりと外した。レースが施された淡い紫色のブラが露わになる。
「かわいいブラジャーだね……」
男はブラの上から再びリナの胸を愛撫し始める。手のひら全体を使って撫で回し、指を柔らかく埋め込むように揉んだ。
(いやぁ……! 触らないで……!)
叫びたくても、口に詰め込まれた布に邪魔をされて思うように声が出ない。
「リナちゃんのオッパイ見せて……」
男がブラを強引にずり上げ、リナの胸の膨らみは男の目の前で露わにされてしまった。