隠し撮り自粛中-1
「あ〜あ、しかし、あっさり終わっちゃったよな〜。オレたちの高校生活。」
「ああ、オレなんか退学処分かと思った直前で、休校。そのまま卒業だもんな。」
「まあ、お前の場合は救われただろうけど、オレたちはなあ。」
「ああ。章人は確かにラッキーだったよな。
将来的にもやっぱ、退学の肩書、まずかっただろうからな。」
「幸太郎先輩の1年留年っているのは肩書的にはどうなんすか?」
「ばかやろ。オレは仲のいいお前たちと、
どうしてももう一年一緒に高校生活がしたかっただけだ。
だからこうして朔太郎と一緒に卒業できたってっわけじゃねえか。」
「まあ、留年の場合は、病気で長期入院してたとか言う言い訳、聞きますもんね。」
「あ、それ貰った。そうそう、オレの場合は盲腸でな。」
「で、章人の場合は、そのまま処分保留?」
「ああ。どさくさ紛れでな。」
「学校中の噂にはなったみたいですけど、あくまでも噂の範囲で終わりましたね。」
「だから、オレだって、長期入院で可哀そうっていう噂くらい、たっただろ?」
「ま、そういうことにしておきましょ。
でも、章人の場合はほんと、ぎりぎりだったよな。」
「ああ。もし処分されてたら、ほら、兄貴に迷惑かかるだろ?」
「あ、そっか、お前の兄貴、お隣の女子高の先生だもんな。」
「英語だっけ?高木先生。」
「まあ、兄貴はオレなんかと違って優秀だろ?
いっつも親に比べられて、ただでさえオレは肩身が狭いのに、
これでオレが退学なんてことになって兄貴が教師なんてやってられなくなったら、
オレは親に殺されかねなかったからな。」
「じゃあ、コロコロ様さまってわけだ。」
「ああ。ところで章人、その後、例の彼女とはどうなったんだよ。」
「結局、何もないまま、卒業さ。連絡先も知らないし。」
「そっか。電車で一度会ったっきり、だったっけ?」
「うん。あれから同じ時刻の電車はもちろん、
前後の電車も調べまわったんだけど、結局一度も会えなかった。」
「電車の中で彼女らしき女子高生に片っ端から声かけまくって、
痴漢と間違われて、逃げ回って、補導されて、
退学処分、食らいそうになるなんて、 全くお前らしいよな。」
「ああ、それも駅員につかまった後、馬鹿正直に、
電車の中で女子高生の胸元見ながらオナニーしてた、
なんてことまでしゃべっちまうんだもんな。
まあ、章人らしいっちゃらしいけどよ。」
「まあ、処分が出る前に休校になって、そのまま卒業だからな。」
「で、彼女の方は、もう探しようがないってことか。」
「でも、隣の女子高だってことはわかったんだろ?制服で。」
「ああ。幸太郎先輩や朔太郎に頼んで、いろいろと調べてもらったんだけどな。
それらしい女の子は見つからなかった。」
「そっか。おい、高木。まさかお前の兄貴、
電車の中でノーブラの胸元を見せてあげた心当たりのある人はいますか?
なんていう聞き方してないだろうな?」
「そんな聞き方するわけないじゃないですか。」
「じゃあ、電車の中で目の前に座っていた男子高校生に、
倒れ込んだ拍子に、ザーメンを手に付けてしまった女子はいませんか?
とか、聞いたのか?」
「いい加減にしてくださいよ。
ちゃんと章人から聞いた特徴を兄貴に伝えて調べさせましたよ。」
「肩まで伸びた黒い髪、はっきりとした目鼻立ちの美人顔。
女優の石原真理子に似ているって、いうやつだろ?」
「ああ。石原サトミに似た女子ならいるって言ってたんだけど、石原真理子似だろ?」
「あ、じゃあ、ちゃうか。石原真理子いうたら、もう過去の女優やからね。
今の男子高校生が好きになったりはしないわ。」
「ほな、その女子高生とちゃうな〜。」
「なに、馬鹿なこと言ってんすか。先輩は。で、朔太郎の方は?」
「オレも、何もないままさ。」
「でも、相手の名前とかはわかってるんだろ?」
「いや、名前どころかどこの誰かもわからない。
ただ、そう遠くから来たんじゃないとは思うけど。」
「おいおい、なんだよ、その話。」
「いや、朔太郎もお気に入りの女の子がいたんですよ。な?」
「ああ。でも、どこの誰だか、さっぱりわからないんだけどな。
それに、もしかしたら夢の中の出来事だったのかもしれないし。」
「なんだよ、その夢の中の出来事って?」
「あれ?幸太郎先輩、聞いてないんすか?
ほら、朔太郎、去年の夏ごろ、ほら、ずっと休んたじゃないですか?」
「去年の夏?って、お前らには最後の夏、の、夏ごろか?
ああ、そう言えば、ずいぶん長いこと、休んでたけど、それが何か関係あるのか?」
「いや、実はあの頃、ちょっと心を病んでいたんですよ。
っていうか、ちょっとノイローゼ気味で。
で、学校休んで、夜中に町中、うろうろしてたんす。」
「なんだよ、徘徊老人だったのか。」
「先輩、怒りますよ。でも、まあそんなもんです。」
「ほら、こいつ、真面目だし、結構神経質じゃないですか。
受験勉強のやりすぎでおかしくなっちまったんすよ。」
「まあそれだけじゃないけどな。まあ、そんなところだ。」
「で、学校休んで、何してたんだよ。」
「昼間はずっと寝てて、夜起きて、夜中に街の中歩き回って……。
で、ゲームして、テレビ見て、で、寝て。。。の繰り返し、かな。」
「なんだよ、非生産的なやつだなあ。」
「で、見ちゃったんすよ。」
「何をだよ?UFOか?それとも幽霊?」
「女の子。しかも、全裸の。」