隠し撮り自粛中-2
「全裸?お前、よっぽど酷かったんだな、ノイローゼ。」
「ホントっすよ。確かに見たんだ、と思うんすよ。」
「なんだよ、お前自身、あんまり自信なさそうじゃんか。」
「ええ。まあ、一日中、ぼーっとしてたから、
自分でも何やってるかよくわかってなかったし。それに……。」
「それに?」
「いや、あんな可愛い女の子が、
あんな格好であんなことするわけないかとも思うし。」
「なんだ、面白そうな話じゃん。もっと詳しく話せって。」
「先輩、面白がってるだけでしょ?」
「いやいや、多感な高校時代、悩める後輩を放っておけなくてな。
さ、話してみろよ。その可愛い女の子が何をしていたのか。」
「なんだ、そっちすか。」
「いや、朔太郎がどういう状態だったかも、もちろん興味はある。
だが、大事なのは、その可愛い女の子の方だ。で?」
「いや、あの頃、オレ、毎晩、夜中に犬と一緒に散歩してたんすよ。」
「お前んちの犬、名前、なんだっけ?」
「それって、興味あります?」
「一応な。お前のことはすべて知っておきたい。」
「フランダースです。」
「……。あ、そ。」
「話、続けますよ。で、ある日、
フランダースがオレを無視して勝手に走り始めたんすよ。
で、オレ、なんか急にイライラしてきて。
思わず着てたシャツもジャージも脱ぎ捨てて素っ裸になったんす。
で、思いっ切り馬鹿やろ〜って叫んだ。。。」
「海に向かってか?」
「オレんちの近くの公園です。」
「公園?あ〜、あそこか。オレも、何回か行ったことあるぞ。
若いお母ちゃんたちが赤ちゃん連れて何人も来てたぜ。それが結構可愛くってさ。」
「赤ちゃんがっすか?」
「そっちの趣味はねえよ。」
「先輩は昼間でしょ?オレは夜中。誰もいない公園です。」
「で?」
「いや、気持ちいいんっすよ、外で全裸になるのって、意外に。」
「まあ、夏だしな。」
「真夏だしな。」
「で、結構夜景がきれいなんすよ。」
「そう言えば、あの公園、高台にあるもんな。」
「ええ。ちょうど砂場のあたりから下を見ると街灯りがきれいに見える。
それがだんだん日課になっちゃって。」
「ふ〜ん。」
「で、オレ、家から全裸で公園まで行って、
オナニーしてから家に戻るっていう計画を立てたんす。」
「お前、やっぱ、頭おかしいわ。」
「だから、ノイローゼだったんだって言ってるじゃないっすか。」
「ま、そういうことにしといてやるよ。」
「で、それから毎晩、安全なコースを探したんです。誰かに見つかったら大変でしょ?」
「ああ。全裸の女が歩いていたら、オレは尾行する。
全裸の男が歩いていたら、オレは通報する。当然だ。」
「ええ、だからオレも、綿密に計画を立てたんすよ。
どこをどう歩けば誰にも見られないで家と公園を往復できるかって。」
「はあ。それを毎晩、フランダースと一緒にやったわけだ。」
「ええ。でも、毎晩、すれ違う女がいたんす。ずっと下を向いて歩いている。
オレはそいつと出会わないように、コースや歩くスピードを研究しました。
そして、ある日、オレはその計画を実行に移したんす。」
「お前、今から通報してやろうか?」
「…………。」
「で、どうなったんだよ。」
「大成功です。あの女にはもちろん、誰にも会わずに公園にたどり着いた。
で、計画通りに、街の明かりを見下ろしながらオナニーしました。」
「オレ、あの公園、二度と行かない。。。」
「で、その後、ついでにしょんべんもしちゃったんす。」
「だけど、朔太郎。お前、夜景見ながらじゃ、おかずにもなりゃしないのに、
よくオナニーまでする気になったなあ。」
「いや、フランダースが走り出したから、いつもよりも早く公園についちゃってさ。
で、入り口のところでフランダースが急に立ち止まって。。。
で、オレも立ち止まってさ。
で、見たら、公園の砂場で、髪の長い可愛い女の子が、
全裸で転がりまくってたんだ。
しかも、砂まみれになったまま、近くにあった、
ほら、子どもが砂遊びに使うシャベル。」
「ああ、プラスチック製の、赤とか、緑色のやつ。」
「そう。それを口に咥えてフェラチオしてたんだ。」
「お前、やっぱ、それは夢やな。」
「ああ。オレもそう思う。朔太郎。それは夢や。
可愛い女の子がそんなことするわけがない。」
「やっぱ、ちゃうか。いや、オレも夢なんかなって思ってたんだがな。」
「夢ちゃうんか?」
「ああ。その後、オレ、公園の中に入っていったんだ。
で、周りを見たんだけど、誰もいない。
でも、砂場の外に、シャベルが落ちていて。
思わず手に取ってみると、シャベルの握り手のところが濡れとったんや。。。
で、オレ、ついさっきまでそこにいた女の子の姿を思い出しながら、
草むらめがけてオナニーしたってわけだ。」
「なるほどなあ。それはオナニー、したくなるなあ。」
「でも、それっきりって事だろ?」
「ああ。その後も、その公園には時間をずらして何回も行ってみたけど、
会えなかった。」
「やっぱり夢だったんじゃねえの?
じゃなきゃ、車で公園に来たんだよ。
だって、全裸だったんだろ?
そんなに遠くからそんな格好で歩いて来るわけないだろ、いくら真夜中だって。
それに可愛い女の子なんだったらなおさらじゃねえか。」
「誰かに見られたら、確実に襲われるもんなあ。」
「なんで朔太郎はいきなり襲い掛からなかったんだよ。」
「…………。」