引き抜きの交渉、お断りします-5
画面の中の凛子に、インタビュアー役の監督の声がかかる。
──凛子ちゃんはパパを裏切って契約変更しちゃった訳だけど、そこんとこ家庭的には大丈夫なの?
「うーん、何だかんだでパパはあたしに甘いから、怒ってても内心じゃ許してくれると思うよ?」
──それじゃ、由梨絵さんは?
「あっ、んあ〜んっ……! チンポいいっ、チンポおぉ……」
──ダメだこりゃ、完全にトリップしてる。凛子ちゃんはおまんことアナルガン掘りされながら冷静だね〜?
「そんなことないよぉ〜? でも我を忘れてコメント出来なくなっちゃうようじゃ、プロ失格でしょ」
──素晴らしい心構えだね。さりげなくママのことディスってるあたりが凛子ちゃんのキャラよく出てる感じ。
「その偏見ひっど〜い。あたしどんだけ性格悪い系って思われてんですかぁ」
──性格悪いついでにパパのこともディスって貰っていい? 凛子ちゃんたちを武器にしてパパの会社潰してやんなきゃいけないからさ。
「え〜、パパをディスれって、何かあるかなぁ。あたしパパのこと基本めっちゃ好きなんだけど」
──パパとも生ファックしちゃうくらいだもんね?
「うん。あ、でも時々キモいって思うことある!」
──それはどんなとき?
「あたしが生理中でも襲ってきたりするの! あとトイレしてるとき入ってくるのとか、あたしのこと溺愛してくれてんのは分かるけどマジ勘弁って思うかな〜」
──……。
インタビュアー役の監督が絶句していた。
DVDを回していた朱代も、隣で一緒に観ている浪子顔を見合わせ、引きつった笑いを交わすしかなかった。
「梶谷のやつ……そこまで変態なんだ」
浪子の額には冷汗が浮かんでいる。
「さすがにこれは……引くわね」
朱代も腋の下にじっとりとした嫌な汗が滲むのを感じた。
「やっぱり移籍出来るんなら、梶谷のところから離れようかしら。生理中エッチの撮影とかやらされたら嫌だし」
朱代の呟きに、浪子も頷いた。