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名曲に名をかりて
【エッセイ/詩 その他小説】

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旋律が心に浮かべた物語-1


   ━─━○━─━

『皇帝円舞曲』のなかに
1930年代につくられた
プラネタリウムを見にきた
女の子がいる

太陽が沈み 赤い夕焼けが
透明な黒い星空になると 女の子は
大きな一羽の鳥につかまえられて
座席からドームの奥に飛び上がっていった

鳥と女の子は 二十八宿をひとまわりして
南の星空へ舞いあがり
大きな円をえがいて 過去と未来の
南極星をめぐっていく

東の空が薄明るくなるころ
女の子は座席に戻っていた
ドームの南に低く光る星の並びが
大きな鶴になって 光の中に消えていった








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