保健教師 莉子 -保護者・美久からの相談-(2020/03/15)-2
「それで、お母様。
今日ここで私がお話しした内容を、
トオルくんにお伝えいただくことが必要になります。
・・・・・・できますか?」
莉子が美久の目を見て尋ねた。
「・・・・・・・はい、
・・・・・なんとか、できると思います。」
美久は莉子からの視線を外し、やや伏し目がちに答えた。
「・・・そうですか、分かりました。
・・・・それと、お母様。
トオルくんに伝える時は、堂々と恥ずかしがらずに話すことが大切です。」
「・・・・・・・、
・・・・・・・・・そうですよね、
・・・・・私も大事だと思います。」
美久はそう答えたものの、自信なさげに莉子には見えた。
莉子は続けて美久に話しかけた。
「お母様。
失礼かもしれませんが・・・、
お母様は、性に関する言葉を使うことに対して、
恥ずかしさを感じていらっしゃいますよね?」
「・・・・・そ・・・、
・・・・・・・それは・・・・・・。」
美久はやや狼狽しながら、下を向いた。
「お母様。
どうぞお気になさらないでください。
その類の言葉を発することは普段無いですから、
恥ずかしく感じる方は多くいらっしゃいます。」
「・・・・・・・・、
そう・・・なんですか?」
美久が莉子の顔を見る。
「はい。
そうなんです。
ご安心ください。
恥ずかしく感じるのは、お母様だけではありません。
こういうのは、一種の慣れなんです。」
「・・・・・慣れ、ですか?」
「はい、そうです。
慣れ、です。」
「・・・・・・・そうですか・・・。
・・・・・そうかもしれませんね。
・・・でも、どうしたら慣れることができるのでしょうか・・・・。」
美久は思案顔になった。
莉子の様子を見て、美久が話しかける。
「お母様。」
「・・・・・はい。」
「これから、私と練習をして、
お母様がトオルくんに自信を持って話せるようにしましょう。」
* * *