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【青春 恋愛小説】

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1:1:1〜郡司佐和〜-4

見れば珍しく成が笑みを浮かべている。
「何?あたしなんかおかしい!?」
「いや…佐和じゃなくて、早将。はばにされてるの知ったら、あいつ悔しがるだろうなぁと思って」

あぁ…そうだね…
あたしは動揺を隠すため笑顔を作ってコーヒーを飲んだ。
「成ってさ…優しいよね」
2人が仲良しなのは知ってる。
いくら仲良し3人組といわれても、2人の間は切っても切れない。

成はきっと早の気持ちを知っている。

早を応援してるの?
優しいね、成。
やさしい成が好きだよ。
でもその優しさはやめて…

「…お茶に誘ってくれたのだってあたしのためでしょ?」
あたしは成の顔を見れなくて視線を落とした。
見えたのは真新しいミュールと赤くなってる爪先。
こんな小さなところまで、成はあたしを見てくれる。
「…苦手なんだよね、ヒール高い靴」

足はまだ痛くて、ジンジンするが、不思議とさっきよりは痛さが和らいでいる。
成が無言になる。

そう言えば成は、恋愛トークあんまり好きじゃなさそうだった。

「…早ってさ、めっちゃおもしろいよねぇ〜」
わたしは話題を早将に変えた。
成と2人であっていることに罪悪感すら感じる。
「こないださ、いきなり朝電話してきてさ『映画いくぞー』って…超計画性無いんだから」
わたしはわざとその話をしてみる。満面の笑みを浮かべて。

二人で遊んだことがあるんだよ?

あたしは成にヤキモチを焼いて欲しくてそう言うと、反応をじっと見た。
でも残念なことにあんまり気にしていない様子…あたしはがっかりして、また視線を落とした。

でもせっかく成と2人きりなのだ、何か話さねば損だ!!と思い顔を上げた。
「早と成って正反対っぽいけど、昔から仲いいんだよね?親友ってやつ?羨まし〜。あたし小さい頃から転校ばっかしてたから友達はいても親友出来たことないんだぁ…」
楽しい話で会話を盛り上げたいのに、なぜかあたしの悲しい話になってしまった。
あたしは次の話題を探すため、コーヒーを飲んで心を落ち着かせる。
「…佐和も親友やん」
そう言って成もコーヒーを飲んだ。

その姿がかっこよくて、一瞬顔が真っ赤になった。

「…うちら、仲良し3人組って呼ばれてるらしいね。なんかズッコケ3人組みたいで笑える」
あたしは胸のドキドキを押さえるため、心の中で『平常心、平常心!!』と唱え続けた。

ドキドキもあったけど、ズキンって気持ちもあった。
成…あたし親友じゃいやなんだよ?

あたしは気付いてほしくて成を見つめる。
あたしの視線に気付いた成はあたしを見つめ返す。

成の瞳にあたしが映って、一瞬何にも考えられない時間が流れた。

でもすぐに成は視線を外した。
しばらくの沈黙のあと、わたしはまた普通に話をはじめた。

膨らむ気持ち。
伝えたい。
溢れそうな気持ち。
言葉にしてもいい?

でも成を思うと早将の顔もちらつく…

だからあたしは沈黙を守っている。


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