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【青春 恋愛小説】

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1:1:1〜郡司佐和〜-2

ミニスカートはどうあれ急がねばならない。
ベッドから飛び降りて伸びをすると、タンスから何枚か服を出した。
早々に服を選ぶと、次は洗面所に駆け込んだ。

二人と休みの日に遊ぶのは久しぶりだ。顔を洗って鏡を見ると、あたしの顔はにやけていた。

今のあたしにとって、最も幸せなのは三人でいることだった。



「遅いぞー佐和ー!」
家から一番近い駅に早将はあたしを出迎えるためにきてくれた。
その姿を確認して、あたしは早足で駆け寄る。
「無茶言わないでよね〜。これでも相当頑張ったほうなんだから!!」
あたしが怒った風に喋ると、早将は悪い!!と笑いながら謝った。

「…で?どこの映画館行くの?成とはどこで待ち合わせ?」
あたし達は定期を改札に通す。
「俺、成が来るなんて言ったか??」
ホームに向かうためのエスカレータで、早将は後向きに乗ってあたしを見下ろして言った。
確かに言われていないが、当然成もいるものだと思っていたあたしは、きょとんとして早将を見上げた。

「今日は俺と佐和の二人旅なのです」

エスカレータからタイミング良く飛び降りると、早将は足取り軽くホームを歩いていく。

じゃあこれって『デート』?

なんだか肩の力が抜ける感じがした。

別に二人きりが嫌だというわけではない。
友達の早将と出掛けるのは最高に楽しいだろう。

…でも…

あたしは早将と会話しながら、ずっと考える。

男の早将とは…二人で遊んではいけない。


早将の気持ちは出会った頃から知っていた。
はじめは、からかっているのかと思ったが、早将を知っていく度にそれが彼の本当の気持ちだとすぐにわかった。

あたしは気持ちに気付きながらも、冗談混じりで返していた。

早将が大切な友達なだけに、ありもしない期待をもたせるような事はなるべくしたくなかった。
大切な友達がゆえに、きっぱり断ることも出来ないでいた。

頭でわかっていても早将の笑顔や楽しい話は、あたしを幸せにしてくれて、ついつい必要以上に馴々しくしてしまう。

「さっきのシーンすごかったよなぁ〜。船がドーンって来て、ズラ〜っと幽霊が並んでさビシバシやったとこ。超絶びびったね!」
「早ってば擬音語ばっかじゃん!!」
ポップコーンの箱をポイっとごみ箱に投げ入れ、あたし達は映画の話を続けた。
「あの女優、俺好きなんだよね〜♪」
早将とは好みが違った。
前から気付いていたけど何でもカンでも違う。
食べ物に始まり、服の系統、女優の評価もまた然り。
それでも成り立つこの関係は、早将の愛のおかげ?とたまに思った。


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