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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-13

 何時しかその可愛らしい背中に生えていた天使の翼も消え、いつもと変らない優しい顔が、彩霞を見詰めて微笑んで居た。
「ごめんなさいね中村さん、驚いちゃったぁ」
「真由美ぃ! お前……いったい……」
「詳しい事は言えないけど、わたしね……エスパーなの」
「エスパーーっ!!」
 馬鹿馬鹿しい、そんなSFアニメのような事が有るものかっ! そう心で否定しながらも、彩霞は目の前に広がる廃墟の町並みと、ついさっき自分が助けられた事実に困惑しながら、
「なにそれっ…… 訳解んねーよっそんなの…… 俺ぇ…… 真由美ぃ……」
 呟きながら、真由美の腕にしがみ付いて、震えながら涙に頬を濡らしていた。


「よかったぁ、中村さん、無事だったのね」
「あっ、朝霞さん。あなたも無事でなにより」
「すみませんでしたエンジェル1(ワン)、あたしがモタモタして居たせいで……」
「うう〜ん、いいのよ。それよりそのエンジェル1(ワン)って言うのは止めてね。何だか恥ずかしいから」
 どうやら是奈も、あの爆発の中を生き延びたらしい。
 自分の不甲斐なさで起きた事故とは言え、是奈もまた真由美に助けらた様である。全身傷だらけに成りながらも、彩霞の背中にそっと手を宛てて、自身も、零れた涙をそっと拭っていた。


「そうだっ都子はっ! 都子はどうなったんだ! あいつは何処へ行ったんだっ!!」
 不意に彩霞が叫び出す。
 そんな彩霞の手を強く握り締めて、真由美は黙って、首を横に振った。
「そっ……そんなぁ」
 恐らく都子はあの爆発と共に消し飛んだのだろうと、真由美も是奈も、肩を落として涙ぐんだ。
 とその時である。
 目の前のガレキが ”ガラガラ”と音を立てて崩れると、その中から黒こげになった都子が姿を現した。
『都子っ! (佐藤さんっ!)』
 彩霞達も一斉に声を上げる。
 都子もどうやら、命だけは取り留めていた様で有る。が、激しい戦闘のせいで既にそのサイボーグの身体もボロボロの様子で。見れば左腕は肩の辺りからもげて無くなり、内部のメカニズムが剥き出しになって、千切れた電気配線が ”バチバチ”と音を立てて、ショートを起こし火花を散らしていた。
 それでも都子は、
「まだよっ! あたしはまだ負けてなんかいないんだからねっ! 貴方達なんかに負けるもんですかっ!!」
 そう言い放って、残った右腕一本で攻撃をしてこようと身構えもするが。どうやら立っているのが精一杯と言ったところだろう。もはや弾薬もエネルギーも切れ、悔しそうに涙を流すばかりだった。
「佐藤さん、もう終ったのよ。貴方は良く戦ったわ。お願いだからもう無駄な抵抗は止めて、……ね」
 真由美は優しく都子を諭す。
 都子は溢れ出る涙を拭きながら、
「ごめん真由美ちゃん…… あたし真由美ちゃんの事は好きだけど、だけど……あたしたちって敵どうしなのよね」
 そう言うと、これが本当に最後の切り札なのだろう、自身の胸に右腕を突き刺し、さらにそこからサイボーグボディの動力源とも言うべき心臓(マイクロリアクター:超小型原子炉)を取り出すと、微笑みながら、その心臓を握りつぶしたのだった。
 そして起こる核爆発! 
 だがそれよりも一瞬早く、真由美はテレポートで都子に近づき、その右手ごと彼女の心臓を奪い取ると、それを宇宙空間へと転移させていた。星の瞬きのような光が一瞬、目に留まったが、どうやら事無きを得た様子である。
 真由美は、動力源を失い機能が停止して倒れ込んだ都子を抱えながら、
「いいのっ、もういいのよ……」
 と、やさしく都子の頭を撫でるのあった。


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