ゆえとナオさん 未来編-4
産めよ増やせよで、一時的に人口が増えた。
若い男性が、
それこそ種馬のように大切に扱われた。
だからと言って男の子は生まれない。
英国の製薬会社が、
遺伝子結合技術を完成させていて、
すでに同性間で産まれた子どもが成人していた。
その製薬会社は、
人類の未来のためにと、
無償で遺伝子結合技術の使用を許可した。
コストは下がり、
貧しい国では無料で処置が受けられた。
こうして、人類絶滅は避けられた。
年を追うごとに男性人口は減っていく。
世界中で、1年間に3千万人が亡くなる。
行政、政治、文化。
時間をかけて社会全体が変わっていく。
避妊、同性婚、望まない妊娠といった言葉が、
次第に意味を為さなくなっていく。
やがて、最後の一人が亡くなって、
男性は居なくなった。
地球には女性しかいなくなった。