在った愛のかたち-1
あるところに、石畳の美しい一つの街がありました。
その街に、一組の老夫婦が住んでいました。
二人はこの町で産まれ、この町で育ち、この町で出会い、そして結ばれました。
それは二人の愛の舞台
まだ完全に日の昇りきっていない頃に、おばあさんは起きました。
おばあさんは、机の上にある写真立てが倒れているのに気付き、ゆっくりと立て直しました。
その写真立ての中には、古ぼけた一枚の写真が入っていました。
それは昔、二人が結婚したときの写真でした。
写真の中の二人はとても若々しく、おばあさんは目を細めて昔の想い出を思い出しました。
それは二人の愛の記憶
おじいさんは、若い頃に行った戦争で喉を傷付けてしまい、喋ることが出来ません。
おばあさんは、自分の隣のベッドに寝ていたおじいさんを優しく起こしました。
おじいさんは、起きてもしばらく眠そうにしていて、おばあさんは思わず微笑んでしまいました。
それはある愛の風景
おばあさんは息子と、孫とも一緒に住んでいました。
朝御飯の支度をしているて、息子のお嫁さんが起きてきました。
お嫁さんは、おばあさんに先に支度が出来なかったことを謝りました。
ですが、おばあさんはそんなことは気にしていません。
お嫁さんは、そんな優しいおばあさんが大好きでした。
二人で料理を作っていると、息子と孫が一緒に起きてきました。
おじいさんも集まり、みんなで朝御飯を食べました。
孫はまだまだ小さく、おばあさんとお嫁さんが作った料理をぽろぽろとこぼしながらも、笑顔で食べていました。
お嫁さんは、そんな孫の口元を拭い、息子はそんな二人を微笑ましく見ていました。
その光景を見て、おじいさんとおばあさんはとても幸せな気持ちに包まれました。