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在った愛のかたち
【純愛 恋愛小説】

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在った愛のかたち-2

それは二人の愛の結晶



息子は仕事で、お嫁さんは息子を学校へ送っていくために家を出ていきました。


おばあさんは、ゆり椅子にもたれかかり少し休んでいました。

なんだか、とても今日は幸せな気持ちがするのです。

何かあるのかしら……と、おばあさんは考えていました。



寝室から、おじいさんが出てきました。外出用の服装をしています。

おばあさんは、おじいさんが散歩に行きたいと思っているのが分かりました。

おじいさんは上手く喋ることが出来ないため、態度で示すことが多かったのです。

おばあさんも準備をしようと椅子から腰を上げました。その時です。




一緒に散歩に行こう




なんと、おじいさんが喋ったのです。

おばあさんは、両手で口元を抑え涙を流しました。

幾十年もの間、聞きたかった声を聞くことが出来たのです。

おばあさんは急いで支度を整え、おじいさんと散歩に出かけました。




街は、昔と何も変わっていません。

二人で歩いた石畳の道路も、古くなって付かなくなってしまった街灯も、二人遊んだ川や山も……。変わってはいませんでした。



二人は、街の中心にある教会へとたどり着きました。ここは二人が初めて出会い、そして結ばれた場所でもありました。


扉を押して中に入ると、何故か誰もいませんでした。

二人は、一番前の長椅子へと腰掛けると、どちらからともなく祭壇の聖母像に祈りを捧げました。

おばあさんが祈りを捧げ終わり隣を見ると、おじいさんは眠っていました。

おばあさんは、おじいさんの寝顔を愛おしく想い、しばらくその横顔を眺めていました。

すると、聖母像からまばゆい光が放たれました。

その光はとても暖かく、優しく穏やかに二人を包んでいきました。

おばあさんも眠気に襲われ、おじいさんの肩に頭を預けて眠ってしまいました。


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