月曜日、街の隙間で-1
55歳になった私。
二人の息子は独立して、私はダンナの親が営む店の「社員」として日々を過ごしてます。
55歳になってる私。
だけど、小中学生時代に私の周りにいた五十路の女性たちとは、何か違います。
顔立ちとか、心の中とか、自分の母親も含めた あの頃の女性たちと比べるとまるでガキ。
私はひそかにそれは、子ども時代に心に触れた「絵」の違いじゃないかと思っています。
我が本家の土蔵で、昔の少女向け雑誌をいっぱい見た事があります。
戦前、そして昭和30〜40年代。
リアルタイムで読まれた雑誌の紙面の、マンガや読み物などを見てると、それを見て育った女の子たちが記録写真の中にある「ああいう顔立ち」になっていくんだな、となんとなく感じたんです。
○
まだ暑さの残る、初秋の月曜日。
私は「社」がお休みでした。ダンナは別の仕事だったため、一人バスに乗って隣町にある大きな古本屋さんに出かけました。
私は中学、高校時代に友人と小説を書いて楽しんでいました。
可愛い少年同士が、互いにお尻の穴を愛しあう露骨な小説でした。
ルーズリーフにシャープペンシルで書いて、何人かの友達に回覧していたのです。
友達がそれに チンチンもあらわなさし絵を描いてくれたり、より過激な「別展開」のストーリーを綴ってくれたりしたんです。
そんなワケで、古本屋さんで まず少年愛の小説やコミックスの並ぶコーナーを訪ねてしまうんです。
でも、その日は店内のようすが違っていました。
中学、高校生の姿がやたら見られるのです。どうやら学校行事の代休のようでした。
少年愛の書棚にも、数人の少女たちが立ち読みをくり広げていて、私が近寄るにはちょっとマズい状況でした。
そんなワケで私は「本来」の目的を果たせぬまま店をあとにしました。
(でも、スクリャービンのピアノソナタ全集のCDが手に入って良かったなぁ……)
店を出て、しばらく歩いたところでした。