誇り高き首領妻の熟肢体は白濁汁を浴びて-10
「静かにしてよ!」
割って入ったのは、廊下で立ち聞きしていたのか、ほろ酔い加減でしどけない浴衣姿の浪子だった。
「怒鳴るしか脳のない男ってクズなのよね」
梶谷たちを睥睨しながら、浪子は朱代の隣に座った。
「お義姉さん……こうなったらもう腹くくるしかないよ。実際、もうエッチシーンも撮っちゃったんでしょ? 安西に離婚されたあたしだから言えるんだけど、もう諦めて成り行き受け入れちゃったほうが楽なのよ……」
それからトロンとした目を梶谷に向け、
「ところで、次の撮影まだなの? もっと凄いエッチしたくてウズウズしてんのよね、あたし」
恐ろしいまでに色っぽい微笑みを浮かべる浪子であった。
「……案外と浪子ちゃんのほうが賢いみてえだなぁ?」
梶谷は立ち上がった。
「よぉし、今日これから浪子ちゃん連れてくぞ。第二作クランクインだ。ついでに朱代さん、そこの郵便局で追加シーン撮るぞ。いいよな?」
朱代は涙を拭って顔を上げた。
「いいわ」
柴田と末松が何か言おうとするのへ、
「あたしも腹くくることにしたわ。あんたたちは今日限り、山勇会でも何でもないから、好きなとこに行くといいわ。あたしはただの安物AV女優……山勇会はこれっきりお終いだと思うから、盃も無効と思って頂戴」
きっぱりと決別の言葉を投げた。
柴田と末松の顔はくしゃくしゃになり、大の男らしくない大粒の涙がこぼれた。
「行きましょう」
朱代は梶谷に毅然とした顔を向けた。
それは一作五千円の極妻AV女優・五条朱代の、決意に満ちた凄艶なる美貌であった。