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犬使いの少女
【ロリ 官能小説】

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犬使いの少女-9

 俺は素早く振り向くと、低位置から突進してくる存在を確認して身構える。
 そしてそいつが飛びかかってきた瞬間……
 俺の体は横を向いてそいつの体当たりをかわし、俺の後方に着地したそいつが向き直ろうとしたところを上から両手で押さえつけて捕まえた。
 後を走ってきた珠美はそれを見ると驚いて足を止めた。

「……はい、珠美ちゃん」
 俺はチャオをそのまま両手で持ち上げて珠美に手渡す。
「……あ、ありが……とう……」
 珠美は唖然としたまま、チャオを受け取って胸に抱く。
「これからは紐を離しちゃだめだよ」
 俺は珠美の頭を撫で、わざと子供向けの話し方をする。
 珠美の目が吊り上がり唇が少し尖るのを俺は見なかったふりをして再び背を向けて彼女の前から立ち去った。
 珠美はしばらくその場にチャオを抱えたまま立ち尽くしていたが、急に後ろを振り向くとそのまま駆け足で行ってしまった。

 ……これでいいんだ、きっと……
 俺は後方にさりげなく視線を送って珠美が見えなくなったのを確認すると、そのままコンビニへと向かった。

 ……………

 俺はその夜もなかなか寝付けなかった。
 ……珠美は明日も同じ時間に同じコースで犬に散歩をさせるだろうか?
 ……一日ぐらいじゃ諦めずに明日も俺に話しかけてくるのだろうか?
 ……それとも俺に見切りをつけ、誰か別の男に犬をけしかけるのだろうか?
 ……そしてそいつと……
 脳裏に思い浮かべたくもない考えが浮かんできて、俺はしきりに寝返りをうつ。
 ……それでも、そういう道を選んだのは俺なんだ……
 俺は大きく息を吐き出してから目を閉じた。

 ……………

 次の日の夕方、けだるい気分で時計を見るといつもの時間を十分ほど過ぎていた。
 俺は財布を取って立ち上がると、外に出ていつものように一番近いというわけじゃないコンビニへと向かった。
 ……まあ、日課だしな……
 珠美に会うのは半ば諦めながら、毎日通った道に差しかかる。
 すると視線の遠く前方に丸まって座っている人影があることに気づいた。
 人影は俺に気がつくと立ち上がり、一緒に座っていたらしい犬の紐を引っ張って近寄ってくる。
 俺は嬉しさを感じる半面、緊張で歩む動きが固くなる。

 ……悪いけど珠美ちゃん、俺は決めたんだ。何度やっても結果は一緒だよ。君の手にはもう乗らない……
 俺は揺れ惑う自分自身に向かって珠美に対する心づもりを何度も何度も繰り返し言い聞かせる。

 その人影はすぐにそれが珠美だとわかるぐらい近くまでやって来た。
 珠美は唇を固く結んで、鋭い視線を俺に送ってくる。
 俺は珠美の側まで強ばった足をなんとか運んで近寄っていく。
 そして二人の距離が数メートルとなったところで……

 珠美の手首が小さく犬の紐を引っ張った。
 それを合図に彼女の犬が俺の方へと突進してくる。
 俺は一瞬不意を突かれかけたが、なんとか身構えて犬の飛びつきに備える。

 しかし、チャオは俺の体の横をそのまま通り抜けていってしまった。
 俺がそれを横目で見送って首をかしげていると、すぐ側からドサッと何かが地面に叩きつけられる音が聞こえた。
 そして同時に発せられる小さな叫び声……
 俺が声の方向に目を向けると珠美が犬の紐を手首にきつく結びつけた状態で地面にひっくり返っていた。
「た、珠美ちゃん!?」
 チャオは足を止めてこちらを見ている。


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