鈴井奈々-2
中本は過去の悪事を次々と暴露し、売春接待を受けた業者はビクビクしながら、次は自分たちの名前が出てくるのではないかとニュースを気にしていた。韓国人女性を使ったこう言った接待は慢性的な行われていたらしく、多くの業者が取り調べを受ける事になった。あまりの逮捕者の多さに世間は暫く騒いでいた。
そんな中、奈々から岳斗に電話があった。あの放送以来、全く連絡を取っていなかった奈々からの電話に何の用事かと思いながら電話を取った。
「久しぶりだな。」
「ご無沙汰です。」
「くくく、しかし見事な作戦だったな。」
「何が?」
「とぼけんなよ、ゲームに勝ったくせしてよ?嬉しいんだろ?ジャパンTVの社長さんよー。」
「何の事だか分からないけど、おかげさまでリベンジポルノに怯えなくて良くなった事だけは確かね。」
「リベンジポルノに怯えるスリルを楽しめなくて物足りないんじゃないのか?実は。」
「まさか。フフッ。」
意味ありげな含み笑いをした奈々。気にはなったが、どうやら奈々に関わると火傷しそうだと思い始めた岳斗は深追いはしなかった。
「それはいいとして、岳斗にお願いがあるんだけど。」
「何だよ、お願いって。」
「中本に騙された韓国人女性達を集めて、彼女らをアイドルグループとしてデビューさせてあげようと思うの。プロデュースするの好きでしょ?」
「マジで言ってんの?」
「勿論、マジ。日本人に夢を弄ばれたんだから、日本人が彼女らの夢を叶えてあげる義務はあるでしょ?」
「まぁ、一理あるが、俺にその義務はないけどな。」
「受けてくれたら株、上がるわよ?」
「株か…。てかもしかしたら俺の株よりお前自身の株が上がるのを計算してんじゃないのか?」
「どうかしらね。受けてくれるよね?」
「どうするかな…」
「また抱かれに行けばいい?何をしたら受けてくれる?」
「いや、それはもういいや、俺は。」
「どうして?」
「なんか中本の二の舞になりそうでコエーし。」
「フフッ、岳斗にはしないわよ。陥れるような真似は。」
「て事はやっぱりお前、中本に…」
「まぁ、それはいいとして、受けてくれるわよね?」
「…わ、分かったよ。」
「じゃあ今から打ち合わせをしにそっちに行くからよろしくね。」
「く、来るのかよ!?」
「何よ、今まで散々呼び寄せて来たくせして。もう私には気にする人がいないからずっと居られるわよ?またたっぷり虐めてよ。」
「…、ま、まぁいいや。来るなら来いよ。」
「じゃ、後で。」
電話は切れた。電話からも、もうすっかり立場は対等か、それ以上の態度に思えた。実は岳斗も、もうあまり関わりたくはない女となっている奈々。今の奈々には火傷どころか全て焼き尽くされてしまいそうな危険な香りがプンプン感じるのであった。