意地を選んで恥辱にまみれ-1
組長室に朱代を通し、梶谷は人払いをした。
二人だけの部屋に重い沈黙が垂れ込めていた。
梶谷は、気が進まぬといった面持ちで複写式A4サイズの紙を差し出した。
「よくご確認の上、署名をして下さい。二枚目が姐さんの控えです。両方に捺印をお願いします」
「分かったよ。拇印でも構わない?」
「もちろんです」
朱代はひと通り、書かれてある文面を読んだ。
甲は乙の所属者となり、芸能活動に従事するものとする。
甲の行う芸能活動には、以下のものが含まれる。
映像演技、舞台演技、プロモーション活動、取材対応その他これに付随する諸案件。またこれらの内容には疑似なしの性行為が含まれる。
甲は乙に対し、以下の行為をNGなしで受諾することを約束する。
本番(生ハメ)、乱交(人数上限なし)、アナルセックス、膣内射精、顔面射精、口内射精、腸内射精、フェラチオ、イラマチオ、アナル舐め、スパンキング、SM、排尿排便、飲尿、食糞……
ずらり並んだ項目に、朱代の身体は熱くなっていった。
(こんなことまでさせるつもりなの……!?)
性行為といったらいたってノーマルなことしか経験してこなかった朱代である。
フェラチオは夫に喜ばれるので、得意とまで言えるくらい習熟したが、口内射精は考えも及ばぬアブノーマルなもの……くらいの認識である。
頭がくらくらして、目をそむけたるのを我慢する朱代。
頑張って読み通していくと、最後に報酬の要項があった。
乙は甲に対し、活動一件につき下記の報酬を支払うことを約束する。但し源泉徴収、復興特別所得税は差し引かれて支払われる。
金十億円也。