責任-1
他の韓国人女性のインタビューや関係者の証言により、中本の行う接待には必ず女性と淫な行為がついていると言う事が慢性化していた事が浮き彫りになる。通常ゴルフとセットになる事が多いが、多くの接待された側の得意先の男性はゴルフそっちのけで女性との肉体関係に夢中になる事が多かったとされ、接待場所に使われたゴルフ場やホテルからは今回と同じような苦情が続出していた。今まで通常よりも色をつけた利用料を中本から受け取り、ある程度は多めに見ていた施設も、中本逮捕を知り一斉にバッシングに転じた。
中本が接待と称して一体何をして来たのかが概ね解明された。韓国人女性を人として扱わず、卑劣な手を使い強制的に売春行為をさせていた事に、視聴者達はみな強い憤りを感じている中、いよいよ中本とジャパンTVの悪事の内容に踏み込む奈々であった。
「今回のこの下劣な接待では、証言通り、我がジャパンTVの社員が深く関わっていた事が分かっております。ここを隠蔽しては、絶対に、絶対にいけません。我々は全て包み隠さず、ジャパンTVの社員が働いた愚行を暴いて参ります。」
真剣な眼差しでそう言うと、奈々は再び深く深く頭を下げてから事件の詳細に迫る。
「まずはこの接待に参加し、韓国人女性の方々に酷い行為を行った、外道の名前を公表します。」
外道と言う言葉を選んだ奈々に、強い怒りを抱いている事が伺い知れた。
「今回の売春絡みの事件で警察に身柄を確保されたのは、10人全て我々ジャパンTVのアナウンサーです。それでは全て公表します。まず、高島宏容疑者、石田健容疑者、安曇守容疑者…」
奈々は一人一人の名前の後に容疑者とつけて読んだ。愚かな身内を守るつもりはないと言う強い意思表示に思えた。その声は落ち着き払っており、それがむしろ視聴者には奈々の怒りが伝わった。
9人まで公表し、最後の1人には更に強い怒りを感じた。
「…そして、藤井直人、以上10人のジャパンTVのアナウンサーが、ナダルミックスの常識では考えられない、あるまじき接待を受けた事が判明致しました。今回は我々ジャパンTVの社員がこのような下劣で非人道的な事態を引き起こしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。深く深く反省するとともに、真摯にお詫び申し上げます。」
ここで社長も並び、奈々と里美と共に頭を下げて謝罪した。
ネットでは当然ある事が騒がれていた。
「藤井直人って鈴井奈々の旦那じゃね？？」
「最悪だねー、よりによって夫が売春とか。」
「鈴井奈々の立場ねーよな！」
「サゲチンホーケー野郎だな！藤井は。」
「プライム・ゼロも鈴井奈々も終わったな。もう女性の社会進出がどうこう言われても説得力ねーし！」
「でも鈴井奈々、関係ないじゃん。他局に移って今まで通り頑張ってほしいよな。」
「同罪だよ、同罪。夫が売春してたの気付かないとか、妻失格だし。」
様々な意見が様々なSNSで騒がれていた。番組の公式ツイッターは大炎上していた。まじめな意見が多い事は多いが、中には、夫の禊で鈴井奈々のAV出演希望！、とか、宇垣里美も一緒にAV！、など、冷やかしの書き込みも目立つ。週の初めの月曜日の深夜、日本中はこの問題で否が応にも盛り上がっていた。