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あたしのYANG KEY
【コメディ 恋愛小説】

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あたしのYANG KEY-4

今あたしの目の前には、爛々と輝くたくさんの目がある。物珍しそうにあたしを見る顔、顔、顔、さらに顔、そして顔。この圧力すげぇなぁ。とか思うあたしの後ろで、伊藤先生が黒板にあたしの名前を書いている。
急に教室内がざわざわと騒がしくなった。
「なんて読むの?」
「全然わかんねぇ」
「四文字熟語か?」
「なわけないでしょ!」
聞こえてんだよ、てめぇら…!くぅ、落ち着け自分。転校生なんて珍しいからこうなるのも仕方ないって、うん。
伊藤先生が小声で「自己紹介してください」と言った。
「…ゆうきよりか、です!」
あたしはわざとゆっくり言ってやった。
「えっと…楽しい事大好きなので、仲良くしてもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします!」
…決まった。笑顔も完璧!!たぶん…。
静まりかえる教室…え、ドン引き?なんて考え始めた時
「ぅわああぁぁぁぁ!」
割れんばかりの拍手!!たっくさんの笑顔!!びっくりさせないでよ、もう…。ああぁ、良かったぁ〜!
「じゃあ、席は…あそこだ」
先生は一点を指差した。その瞬間、どんちゃん騒ぎがおさまり、教室の空気が凍り付いた。…ような気がした。
「あそこって…?」
席、二つ空いてるんだけど…。
「東の後ろだ」
先生がそう言うと一人の女の子が立ち上がって「こっち」と手招きした。あたしはその子の後ろに座る。あたしの席は、窓側の一番後ろの隣。つまり、本当に窓側の席は空いているというわけだ。
「今日の連絡だけど…」
あたしが席に着いたことを確認すると、先生は連絡事項を話していく。さっきの空気の変わり様が気になりつつも、聞き逃してはいけないと思い、あたしは先生の話に集中した。


先生が話し終わり、教室を出ていく。すると、前の席の「アズマ」と呼ばれた子が「どもっ!」と後ろを振り返った。
「私、東 愛未!めぐって呼んでっ♪」
「あ、あたしは結城より…」
「さっき聞いたじゃん」
今度はめぐの隣の男の子が笑いながら振り返った。
「村井 北志!ホッシーと呼んでやってくれぃ!何かあだ名とか無いの?」
「あだ名…ヨリ、って母と父は呼ぶよ?あと、みっくんも」
めぐとホッシーは「みっくん?」と首を傾げた。
「…あれ、満のことは皆そうやって呼んでたんだけどな…」
「ミチル?ヨリの友達のこと言われても私たちわかんないよー」
めぐが笑った。
「この学校の柳田 満ってわかんない?」
めぐとホッシーの顔が固まった。
え?何で固まるの…?
ホッシーが小さい声で呟いた。
「柳田 満って…」
「ちょっと…何、その表情はっ…みっくん、いい人でしょ!?」
その時、ガラガラと教室のドアが開いた。会話の飛び交っていた教室が静かになった。
「柳田君…」
「みっくん!」
あたしとめぐの声が重なった。教室のドアの前にみっくんが立っていた。
「みっくん、このクラスなの?何でいなか…」
あたしがみっくんに駆け寄ると、みっくんはぐいっとあたしの腕を引っ張って廊下に連れていった。


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