『THE ENDLESS』外伝〜光羽編第一章-1
俺達が最初にログインしてから早くも二週間が過ぎた。その頃にはメンバーが一人増えて五人になっていた。その名はミリア。緑の髪の魔術師だ。Somisiaeには俺以外に魔法が使える奴がいないので、正直助かった。
「さて、今日は何をしようか」
連絡室で依頼を調べるが、ほとんどいつもと変わらない。
「初心者の護衛…アイテム探しの手伝い…暗殺…指名手配プレイヤーの撃破…商人の護衛…商売やろうって奴はまだ少ないが」
指名手配プレイヤーというのは、主に窃盗などを繰り返したプレイヤーの事で、中央局が賞金を懸けている。
「カジュー…レベル推定18…魔法を使える…前科五犯…隠れ家はおそらくW-60。こいつが妥当な線か」
「レベル18って高くない?」
「何だよシエル、一対一じゃないんだからな」
「まあ今回は俺と鋭刃とミリアで行く。颯葉は適当にレベル上げ、シエルは魔犬退治でもしとけ」
「えーっ、マスター私の事甘く見てるでしょ」
「何故私を同行させない?」
「俺はなりたくてマスターになった訳じゃないぞ」
二人が詰め寄る。俺には俺の考えがあるのにな…
「命令だ。行くぞ、鋭刃、ミリア」
颯葉もシエルも渋々引き下がった。本当に無責任だ。
「よし、W-60にエリア移動だ」
このゲームには、A-1〜Z-60までのエリアがある。ただしそれは難易度とは関係ない。
W-60は廃ビルが立ち並ぶ廃墟エリアだった。
「確かにここなら隠れ易いっスね…」
「どうやって探しますか?」
「判らないか?それがお前を連れて来た理由だ」
「と言う事は…」
「来い。まずは適当にビルに入る」
どういう事かというと、俺はミリアのアイテム探知魔法を利用するつもりなのだ。
「屋上まで上がるぞ」
低めのビルを選び屋上を目指す。ビル内は書類が散乱していて、俺の好奇心をくすぐった。
「また今度じっくり調べてみよう…」
「マスター何か言いましたか?」
「あ、いや別に…」
とにかく俺達は屋上に着いた。なかなか高かった…
「ミリア、カジューって奴は五件とも全て剣を盗んだらしい。剣が沢山ある場所を探してくれ」
「分かりました」
ミリアがコンクリート片を拾い呪文を唱えると、その欠片から幾筋か光が放たれた。その光の筋は何かを探す様にゆっくりと動いている。
「もう少し時間がかかります」
「そうか」
「あの…この機会に言いたい事があるんスけど…」
鋭刃がおずおずと手を挙げた。