強者-2
(この1ヶ月で3人と関係を持っちゃった…。直人にバレたらどうしよう…)
番組の打ち合わせが終わり一息ついている時、奈々はそう思い溜息をつく。岳斗、裕太、優希とセックスをしてしまった奈々は罪悪感を感じていた。しかし裕太と優希はもう大丈夫だろう。後は岳斗だけ何とかすれば平穏な生活が戻る、そう思う反面、心のどこかで物足りなさを感じ、スリルを求める自分がいた。
中でもやはり岳斗は強烈だ。あそこまで自分を凌辱してくる男はそうはいない。岳斗の誘いを断りきれないのは知らず知らずのうちにあのゲスぶりに興奮を覚えている為なのであった。
するとキャスターの古舘次郎が話しかけて来た。
「どうしたの?溜息なんかついて。」
奈々は笑顔を取り繕って答える。
「あ、何でもありません。」
「そう。もしかして夫婦仲がうまく言ってないとか?」
「そんな事ないですよ?」
「そうかな…?」
次郎は意味ありげにニヤリと笑い口を耳に寄せ囁いた。
「うまくなってないからADなんかと隠れてセックスしてるんじゃないの?」
「えっ!?ど、どうしてそれを…」
奈々は裕太とセックスしたことを次郎が知っている事に驚いた。
「俺、見ちゃったんだよね。番組終わって帰る時、君と裕太がホテルに入ってくの。」
「えっ…?」
まさか見られていたとは思わなかった。しかし焦りと同時に下半身が疼くのは新たなスリルの予感を感じたからなのかも知れない。
(また脅されて体を求められるかも…)
胸がドキッとした理由が、それが嫌な事なのか、そうでないのか、自分でも良く分からなかった。次郎の口調がいやらしくなる。
「ヤッたんでしょ?AD君と。」
「…」
「いいなぁ、こんないい女といい事出来て…」
「し、してないです…」
「嘘つけよ。ホテルに入って何もしない訳ないじゃん。例えヤッてなくても君がAD君と深夜にホテルに入って行ったの知ったら、旦那さん怒るよね?」
「!?直人には言わないで下さい…。お願いします。」
「俺は口が堅いから大丈夫だとは思うんだけど、そのかわり…分かるよね?」
「…」
「フフフ、君がプライム・ゼロにすぐ復帰出来たのは俺が推してやったのは知ってるよね?思い切って若手を起用しようとしてた上層部の人間を説得して君を推したのを。」
「…伺っております。」
「その例をしてもらってないよね?あんまり恩知らずだと今度は新人を推しちゃうぞ?それでもいいのか?ねぇ?」
奈々は暫く黙り込んだ後、こう答えた。
「何時にどこに行けばいいですか…?」
と。