濡れすぎる女-1
土曜日、ラブラブ動物大集合の収録があった。その日、朝から憂鬱であった。それは優希との共演があるからだ。あれから優希からLINEなどで一切の連絡はなかったが、それが不気味ではあった。スタジオに入り、後から来た優希には取り敢えず挨拶する奈々。
「よろしくお願いします…。」
優希はニコッと笑い、軽く
「よろしく〜」
と言った?
ラブラブ動物大集合での奈々は人気があった。普段の報道アナウンサーとは違い、肩の力を抜いた奈々の姿に好感を持つ視聴者が多く、ネットでも奈々の評判が更に良くなっていた。いつもなら奈々もリラックスして収録に臨むのだが、今日は優希がいる為、心からリラックスは出来なかった。
それでも収録は何事もなく終わった。今日はこの収録が終われば上がれる。家でゆっくりしようと思ったが、そうはいかなかった。
収録が終わってすぐに優希からLINEが来てしまった。とうとう来たかと思い内容を見る。
「今日、もう上がりだろ?今から付き合ってよ。」
スケジュールを把握しているようだ。気分が一気にブルーになる。
「勝手に私と寝たら、岳斗が黙ってないわよ?」
「黙ってりゃいいだけだろ?こっちには鈴井奈々のオマンコ写真があんのを忘れんなよ?」
「…」
「いいか、絶対に岳斗さんには内緒だからな?バレて困るのはお互い様だろ?」
「一回寝たら写真、削除してくれる?」
「いいよ?そのかわりたくさんサービスしてくれんでしょ?鈴井奈々は色々テクニック持ってるって話だから期待してるだけど。」
「ホントに一回だけでしょうね?」
「うん。約束するよ。」
「分かった。」
「じゃあ俺のマンションまで来てよ。住所は…」
「分かったわ。」
「じゃあ、あとで!」
奈々は優希のマンションに行く事を決めてLINEを終えた。
週末は直人と愛し合うのを楽しみにしているものだが、今週末は気が思い。優希に抱かれた体で直人に抱かれなくてはならない。直人に申し訳なく思った。
「いつになったらこんな生活が終わるんだろ…。」
奈々は溜息をつく。
帰り支度をしてスマホで優希のマンションの場所を確認してタクシーを呼び、向かう。着いた先はなかなかの高級マンションであった。
(人気アイドルなんだから何も私じゃなくてもいくらでも若くて可愛い子と遊べるでしょうに…。どうしてわざわざ私を抱こうとするんだろ…)
そう思いながら優希に電話をして中へ入ると優希の部屋に向かった。