1:1:1〜佐々成将〜-4
俺は早将の話に相槌を打ちながら下を向いた。
なんて言ったらいい?
頑張レヨ…
ヤメテクレ…?
止める権利なんてない。
話すのが得意じゃない俺は、いつも二人のやりとりを見ていたんだ。
バカ話ばっかする早将。
早将に負けず劣らず笑わせてくれる佐和。
佐和のことを思いながらも、決して俺を邪魔扱いしない早将。
いつも楽しそうな佐和。
大事な親友。
そいつが惚れた女。
二人がいつまでも笑っていてくれるなら付き合ってもいいんじゃないか?
でも今はもう少し3人で笑いあいたい。
それが本音だった。
「……わかった」
そう返事をすると、早将が笑う。
俺は沈黙を守り続けることにした。
二人のために…
「じゃあよろしくな!!」
早将とその話をしたのはこれが最後。
あとは本番まで二人とも最後の沈黙を守る。
一日一日近づいてくる学祭に、必要以上に胸が鳴る。
学祭に向けてみんなそれぞれの分担されたクラスの仕事・委員会の仕事・部活が忙しくなり、ゆっくり3人で会う時間も減り、会話も学祭のことばかりになってきた。
早将が告白を決めたその日から、寝ても覚めても俺はそのことばかりを考えていた。
学校では、つい佐和を探してしまう。
佐和…
佐和の瞳に俺はどう映っているのだろう…
そんな事を無意識のうちに思うようになっていた。
しかし、佐和のことを考えると早将のことも考えてしまう。
目を閉じると、二人の笑顔が映し出される。
そこに俺が居ないことへの不安と、何か別な気持ちを抱きつつ俺は眠りに堕ちた。