最終話 そして桃子は。-1
桃子は体を引きずるようにしてアパートに戻った。
体も疲れ切っているが心はもっと疲れ切っている……
すると、父がもう帰って来ていて、昼間から呑んでいた。
(お父さんが……この男さえもうちょっとしっかりしてたら、あんな目に会わないで済んだかもしれないのに……)
自然と目つきが厳しくなっていたようだ。
「ああ? 何だ? その眼は、誰に養ってもらってると思ってんだ」
(養ってもらってる? そうね、ぎりぎり死なない程度にね……)
桃子が無言で自室に籠ろうとすると、腕を掴まれた。
「どこへ行ってた?」
「どこでもいいでしょ、あんたには関係ない」
「あんただと? 父親に向かって」
「父親らしいことなんて全然してくれないじゃないの、仕事もほっぽり出して昼間からお酒飲んで!」
「俺の稼ぎだ、家賃も食費も俺の稼ぎだぞ」
「そうよ、でも、普通の父親はもうちょっと子供のこと考えてくれるもんじゃないの? 色あせてつんつるてんの洋服着せておくもんなの? インスタント食品ばっかり食べさせておくもんなの?」
桃子は父親の目をきっと見据えて言った。
「あんたなんか父親だと思わない」
父はちょっと面食らったような顔をしていたが、その眼に怒りの色が浮かび、そして意地悪い色に変わって行った。
「ほう? そうか、俺は父親じゃないか、だったらこんなことしても構わないよな」
「えっ? あっ! 止めてよ!」
いきなり抱き着かれて押し倒された、酒の匂いで息が詰まりそうだ。
「やっぱりな……」
ショーツの中に手を突っ込まれ、まだ精液が残っている膣を掻き回された。
「あ……」
「ここんとこ様子が変だと思ってたんだ、色気づきやがって……」
「ああああっ……止めて……」
「感じてるんだな、子供のくせにいっちょ前の胸しやがって」
「嫌だ……」
ショーツを降ろされ、Tシャツをたくし上げられた、桃子は抵抗したが、肉体労働者である父の力には到底抗えない……。
(もう……どいつもこいつも……)
そう思うと体中の力が抜けて行った。
「あぎっ!」
父のペニスをねじ込まれた……。
ケンタたち三人のペニスをさんざん突っ込まれた膣だが、大人のペニスはさすがにサイズが違う。
「痛い!」
「何言ってる、すんなり飲み込んだし、血も流しやしねぇ、この売女が!」
「やめて……やめてよぉ……」
涙が止めどなく落ち、全身から力が抜けて行く。
どうしてこんな目にばかり会わなきゃいけないの? 男なんてみんな同じ、おっぱいと穴さえあればいいんだ……あたしは何なの? 性欲処理の道具? ラブドールなの?
父のピストンで激しく揺らされながら、桃子はそう考えていた。
「ちっ……酒がなくなっちまった……おい」
すっかり抵抗しなくなった桃子を二度連続して犯した後、父はようやく桃子から離れた。
酒をグラスに注ごうとするが、1/3もない。
「おい……酒買ってこい」
ぐったりと横たわる桃子に言うが、桃子は動こうとしない。
「しゃぁねぇな……自分で買ってくるか……」
そう独り言のように言い残して父が出て行った。
(疲れた……)
桃子は動く気力がわかない。
肉体的にももちろん疲れている、あの三人にさんざん犯され、そのうえ大人のペニスで二度も蹂躙されたのだ、疲れるのも当然だ。
だが、疲れたのは体ばかりじゃない、もっと重症なのは心。
ケンタと二人でセックスし始めた頃はそうじゃなかった。
それまでゼロに近いと感じていた自分の価値……だがそんな自分にケンタが夢中になってくれて、ケンタが望むままに抱かれているうちに少しづつ自分にも価値があるんだと思えるようになって来ていたのに……。
だが、そのケンタも結局はおっぱいと穴だけあれば良かったんだ……。
性欲処理の道具としての価値なら少しはあるんだろうけど、ここまで心を折られなきゃならないなら無価値で良い……。
桃子はのろのろと起き上がると、くたびれた洋服を着て外へ出て行った。