和州記 -蜂蜜ノ味--3
一紺の唇は耳を伝う。
「は…んッ、あッ、ああッ」
耳からまた首筋、双丘に辿り着くと、彼女の反応が良くなる。
一紺ももっと彼女の反応を促すべく、舌を這わせる。
掴んだ手首に力が入った。
「あ、や…んんッ」
胸を舐める。しかし、その先端には触れない。
もどかしくて、竜胆は潤んだ瞳を一紺に向ける。
「ああッ、ん…い、いっこ…」
一紺は手首を解放して、それを脇腹に持って行った。
「ひゃう?!…や、あッ!止め…ッ、くすぐった…」
「お、新鮮な反応や」
竜胆はくすぐりに弱いのか、一紺が脇腹を擦ると身を捩らせて激しく抵抗する。
そんな彼女をいじめるのが、一紺は楽しい。
しかし竜胆は本気で懇願するように言った。
「やだッ、あ…!もう、止めッ!」
「…可愛ええのに」
苦笑して、彼はその手を止める。再び唇は胸へ。
やはり乳頭は舐めない。
「い…こん」
「ん?」
「その…」
彼女の言いたいことは、一紺には十分分かっていた。
しかし、あえて分からないふりをする。
「何や、口に出さんと分からんぞ?」
「……」
黙りこくる竜胆。一紺は胸から腹へと舌を滑らせた。
ぎりぎり秘所に届くか届かないかのところで、舌はまた胸へ。
「あ、あんッ!」
今度は、腕。次は掌、指の先まで。
そしてまた首筋から胸へと唇は移動する。
散々色々なところを舐められた竜胆の身体は、僅かな蜂蜜と一紺の唾液とで妖しく光る。
「はあ…ッ、ど…して…?」
しかし、肝心な乳頭と秘所には触れていない。
竜胆は荒い息を吐きながら、一紺に言った。
「やだ…」
「何が?」
「こんなの…」
竜胆が泣きそうな声で言う。流石に一紺も意地悪かったか、と苦笑を浮かべた。
「我慢出来ないよ……がい…お願いだから、触って…」
「…滅茶苦茶にしたる」
自らねだるようになった竜胆に一紺は少し感激しつつ、言って彼女の乳頭を舐めた。
「ひぅッ」
舌で押し潰したり転がしたりして、竜胆を更に鳴かせる。
「あ…ああッ、あうぅッ」
そして、舌は秘所へ到達する。
茂みの奥を舌でもって移動し、洪水の如く溢れ出す愛液を啜る。
じゅる、と言う音がやけに大きく響いた。
「やぁ…!」
「いつもより濡れてんで…すぐに欲しい?」
竜胆は俯きながら、軽く頷いた。
おもむろに着物を脱ぎ、裸になった一紺は竜胆の右足を抱え上げた。
「あ…ッ?!」
そして抱え上げたところで露わになったそこに、思い切り己を突き挿す。
「はあ…んッ!!」
うねるような動きをする襞は一紺を刺激する。
快感に耐えながら、彼は彼女の足を抱えたまま、ゆっくりと動き出した。
「んッ、はぁッ、あ…ッ、ああぁッ!」
「…くッ、どや?気持ちええ?」
「ん…いい…ッ…あッ、あッ」
息も絶え絶えに答える。絶頂は近い。
腰の動きを加速して、勃っている乳頭を弾くと一層竜胆の中が締まった。
胸を揉みしだきながら、一紺は深く彼女の中を突く。
「あ、ああああ―――ッ!!!」
竜胆が果てる。
ぎゅう、と己を締め付けられて、一紺も達する。
一物を彼女の中から引き抜くと、彼女の腹や胸や腿に、白濁した液を浴びせた。
「…ッふう…」
ぐったりと壁に背を預けている竜胆に、一紺はもたれ掛かって深く息を吐いた。
互いの体温と体重が心地良い、この瞬間。
しかし、二人は気付いていなかった。
一紺が竜胆を壁に押し付けたその拍子に、箱共々壷が横になってしまったことを。
そして、中身が静かに流れ出していたことを――。