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「今晩は、鈴井奈々です。桜も満開になり、公園などではお花見の見物客で賑わっていますね。それでは今日のトップニュースです。」
ジャパンTVの夜の看板ニュース番組、プライム・ゼロのキャスターを務める奈々。一度は結婚を機に降板を決めたが半年で復帰。人妻になったと言うだけでも女として艶やかになった印象を受ける。事実、30歳になった奈々は女として熟し始めた、そんな色気を感じる。
「鈴井さん、ご結婚なされて色気が増しましたね！」
メインキャスターの古舘次郎にそう言われて少し照れて見せた。
「やはりプライム・ゼロには鈴井さんがしっくり来ますね！」
古舘次郎のその言葉には、奈々の後任で起用された宇垣里美への皮肉が含まれているのは誰にでも分かった。若い男性からの圧倒的な指示を受け奈々の後任の座を射止めた里美であったが、取材に行った政治家やスポーツ選手と不適切な行為を頻繁に行っている事がスクープされわずか半年で降板させられたのであった。里美だけの問題に留まる訳はなく、プライム・ゼロ自体の信頼も失墜させられ、関係者の怒りは未だに収まっていない。当の里美はジャパンTVを退社しフリーアナウンサーに転身。そのキャラクターでスキャンダルさえ利用し、現在各局のバラエティ番組を中心に活躍しているが、もちろんジャパンTVには出入り禁止、局内では宇垣里美の話はタブーとされている。よってこの古舘次郎のコメントにジャパンTV関係者は大きな共感を得たのであった。
あの日岳斗に呼び出されリベンジ・ポルノを匂わせられてから現在まで、岳斗からの接触はなかった。もしかしたらあの膣内射精で関係を終わらせてくれたのかな、そう思ったが、 そんな簡単に引き下がるような様子ではなかった。奈々はあれから毎日、いつ岳斗から呼び出されるか、又は接触してくるか不安な毎日を送っていた。
奈々がアナウンサーに復帰したのは岳斗に言われたからではない。宇垣のスキャンダルにより局幹部から強い要請があったからだ。その待遇は非常に良いものであり、将来的には子育て優先で勤務してくれればいいと言うものであった。プライム・ゼロさえ担当してくれれば他の仕事は選んで良いと言ういい条件に、奈々は気持ちが前向きになりアナウンサー復帰を決めたのであった。実際復帰後初めての放送でキャスターを務める自分は嫌いではなかった。半端な気持ちでアナウンサーになった訳ではない。自分はアナウンサーの仕事が好きなんだなと改めて認識した奈々であった。
奈々の復帰後、初めてのプライム・ゼロの放送を見ながらニヤリと笑う男、そう、岳斗は呟いた。
「半年見てないだけだが、いい女になったな。ククク。アナウンサー復帰と同時にセックスも復帰だな。熟したその気持ちのいいカラダを楽しませて貰うか…。ククク！」
岳斗はテレビに映る奈々の体を見てニヤニヤしているのであった。