下半身強化のために 理論編-1
当然と言えば当然の流れだが、
1時間後、柿野日奈子は、コーチに就任したばかりの腰越と
都内のラブホテルにいた。
「こういう場所でないと、なかなか秘密の特訓にならないからな。
場所探しにも苦労する。」
腰越が言い訳がましく言った。
「男子と違って、
女子エロゴルフは特に人気商売だ。
特訓しているところを週刊誌にでも嗅ぎつけられたら、
完全にアウトだ。」
「売春砲ですね。
フライデーに、現場に踏み込まれて、
証拠写真、撮られるより怖いわ。」
「特訓の方法が方法だから、特にな。」
腰越が着ているものを脱ぎながら言った。
「でも、わたしって、結構、そういうのって、
人に見られても平気、って言うか、
人の目があった方が燃えるタイプなんですよね。」
「人に見られても平気なタイプなのか。」
(可愛い顔して、恐ろしいこと、言うやつだ)
腰越は日奈子の頭の先から足の先まで見て思った。
日奈子は上半身に着ているゴルフウエアと、
ミニスカートしか身に着けていないので、
もう既に、その美しく締まったボディーを、
腰越の目に晒していた。
「ギャラリーはたくさんいてくれた方が盛り上がりますよね。
やるぞ!っていう気持ちになるし。
期待に応えたいっていう思いも強くなります。」
壁一面の鏡に自分の姿を映し、ポーズを取りながら、日奈子は答えた
「そうか。じゃあ、次回からは、人目を避けるというのは避けるようにしよう。
出来るだけたくさんのギャラリーがいた方が燃える、か。
なるほど、それも確かに一理ある。」
少し元気のなくなった腰越を励まそうと、日奈子が明るく言った。
「あ、でも、今日は初めての特訓だし、ここでいいですよ。
ほら、こんだけ大きな鏡だと、
何処にいても、全部見られているようだし。」
「うん。今日は、日奈子の体の特徴や、体力面や、
特に肉体面での課題を見つけたいからな。
さすがに、これは、人がいない方がやりやすい。」
(第一、俺が恥ずかしい。)
「わたしはどっちでも平気ですけどね。
今日は、コーチに合わせます。」
既に臨戦態勢になっている股間を掌でそっと応用ししながら
日奈子が言った。
「よし、じゃあ、体の隅々まで調べるから、
まずはシャワーを浴びてきなさい。」
「えっ?コーチは、シャワーを浴びた後の身体の方がいいんですか?
今だったら、結構汗ばんだままですけど。」
日奈子は自分の両脇のにおいを交互に嗅ぎながら言った。
「さっき、練習場を出るときに、シャワー、浴びて来なかったのか?」
「だって、面倒くさかったし、混んでたんですよね。女子更衣室。」
確かに、床に脱ぎ捨てられた日奈子のゴルフウエアの腋の部分には、
大きな汗染みが出来ていた。
「それで汗ばんだままで、来たのか?」
(こいつはやっぱりただモノじゃないな。大物の貫禄が備わってる。)
「ええ、どうせコーチが連れてくるのは、
ラブホだろうってわかってましたから。
終わってから着替えればいいかなって思って。」
「けれど、さすがに汗ばんだままの身体を
隅々まで調べられるのは嫌だろう。」
「全然かまいませんよ。わたし、この匂い、嫌いじゃないし。」
股間から取り出した指のにおいを嗅ぎながら日奈子は言った。
さらに全く自分は意に介していない、
そういった顔で日奈子は付け加えた。
「それも、個人の嗜好ですからね。
ひょっとしたら、腰越コーチも『匂いフェチ』じゃないかな、
っていう読みもあったんですけど。」
日奈子は両腕を上げ、自分のわきの下を腰越の鼻先に近づけながら言った。
「ラインの読み違いでしたか?」
「どうします?シャワー浴びてきましょうか?
それともベッドに直行しますか?」
「う〜ん。よし、決めた。ウォーターハザードは避けて、ショートカット。
ベッド上のセックス勝負だ!」
「それって、グリーン上のパット勝負にかけたんですね、
って聞いた方がいいですか?」
「余計なこと言うと、ペナルティーだぞ。
さ、日奈子のラフをかき分けて、身体チェックだ!」
「ご覧のように、わきも股間もノーヘア、
普段もプレー中も、
もちろんノーズロです。」
二人はベッドへ倒れ込んだ。
戦いを挑む腰越コーチの武器は、自慢のロングドライバー1本。
対する日奈子は、3つのホールで待ち構える。
サドンデスのマッチプレー。
熱戦の様子は。。。
夜のニュース番組の中で。