第1章 万引き-2
「はい、xxxx円です」
支払いを済ませてスーパーから出てからも、陽子は誰かが追いかけて来るのではとドキドキしていたが、店からワンブロック離れた角を曲ったところで、とうとう全身から力が抜けてしまった。
午後7時、真夏の日が沈み、辺りは暗くなっていた。
「もう大丈夫かな?」
建物の陰から様子を窺っていた智之が、「あっ、追いかけてきた!」と陽子の手を引っ張って走り出した。
「先生、こっち」
「あ、ダメよ、そこは……」
そこはラブホテル街。陽子は智之に目の前のホテルに連れ込まれてしまった。