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エロティック・ショート・ストーリーズ
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揺れる蕾(ロリータ・コンプレックス)-5

 悠菜の口元に、またイタズラっぽい笑みが広がった。
「脱いじゃおっかなー」
 そう言って悠菜は習字の足の間から這い出し、ソファーから降りて毛足の長い絨毯の上に立った。
「はあ? な、なんでさ?」
「もっと可愛いと思って欲しいから」
 彼女は戦隊ヒロインのプリントが入ったTシャツの裾に手を掛け、裏返すようにして脱いでしまった。家の中は温かいのでシャツの下に何も着ていない。微細な産毛に覆われた、シミひとつ無い滑らかな白い肌が現れた。華奢な肩、鎖骨。ほとんど厚みの無い胸からつづく、メリハリの利いていない肉付きの薄いウェストのラインも。そして何より、ポツリとだけ見える小さな小さな二つの蕾が何倍にも大きく目に入ってきて、習字は動悸の高まりを感じずにはいられなかった。いずれ花開く時の来る少女の体は、今はまだ大人への階段を上り始めてさえいなかったというのに。
「ゆ、悠菜ちゃん。女の子がむやみに男の前で服を脱いじゃいけないよ」
「じゃあ脱がせて」
「な……むちゃくちゃだな」
 そう言いながらも、習字は呼吸が速まっていくのを抑え切れなかった。初詣に出かけた家族は、いつもゆっくり食事をしてから帰ってくる。習字にはお土産を買って。時間はまだだいぶ早い。今なら、今なら……。
「ねえ、脱がせてよ、お兄ちゃん」
「……ダメだよ、悠菜ちゃん」
「それでね、裸になった私を見て可愛いって言って欲しいの」
 彼女は赤い膝丈プリーツスカートの裾をつまんだ。
「ダメだってば!」
 クリっとした大きな瞳から、涙がじわりとこぼれ落ちた。
「……可愛いって思って欲しいだけなのに」
 上半身裸で泣き始めた女の子を前にして、習字の動悸は混乱とともに荒々しく高まった。今すぐにでも裸にして抱きしめてしまいたい。だがそんなことは許されない。許されないけれども……。揺れる思いで胸が苦しくなり、判断力が鈍り始める。
 そして習字は、自らの口から発せられた、悪魔の囁きを聞いた。
「……そうだ、悠菜ちゃん。マッサージにはね、押すだけじゃなくて、撫でるっていうやり方もあるんだよ。普通は服の上からだけど、直接肌に触れた方が効果があるんだ。それをしてあげるため、ということでなら、脱がせてあげてもいいよ」


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