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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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史上最低 3−C-1

「おい、どうするよ。今年の学園祭。」
 珍しく、朝なのに加藤健(カトウタケル)が教室に飛び込んできた。

「なんだよ。ずいぶんとお早いご登場ですなあ。」
 志尊旬(シソン シュン)がすかさず、声をかけた。

「気になっちゃってさあ。昨日の夜いろいろと考えたんだよ。」
 健が眠そうな顔で答えた。

「へ〜。じゃあ、スケベなビデオ見てたんじゃないんだ。」
 志尊の隣でスケベ本を見ていた横須賀流星(ヨコスカリュウセイ)が言った。

「たまにはな。頭も使う時に使わないと、馬鹿になるだろ?」
 健はバッグをロッカーに放り込み、自分の席に座った。

「それ以上、どうやったら馬鹿になるのさ?」
 長い髪をとかしていた美原ジュンコ(ビハラジュンコ)がすかさず突っ込みを入れた。

「お前、その髪型、時代遅れじゃねえ?」
 次の瞬間、ジュンコのブラシが流星の顔面をとらえた。

「だから、これ以上馬鹿になったら困るってことじゃないの?」
 振り返った中町倫也が笑いながら追い打ちをかける。

「お前ら!そういうことばっか言ってるから、俺たちのクラスはC組なのに、T組って言われるんだよ。最Tなクラスだってな。馬鹿なこと言ってると、教室に仕掛けたダイナマイト、爆発させっぞ!」
 黙って聞いていた須田将暉が顔を上げ、めがねを掛け直しながら大きな声で言った後、一言付け加えた。
「これはマジだ!」

「だから、今度の学園祭でなんか一発、スッゴイ花火を打ち上げて、そういった悪いイメージを払拭して、卒業までに名誉回復しようっていう作戦さ。」
 将暉の顔を覗き込みながら健が目を輝かせて話を続けた。

「やっぱ、今朝の健、おかしくない?」
 将暉の周りによって来た旬が健の頭を叩きながら言う。

「ああ、確かにおかしい。こんなにまともなことを言うなんて、いつもの健じゃねえ。」
 将暉は再びめがねを掛け直し、そして一言付け加えた。
「こいつは、マジだ!」

「あ、ひょっとして、お前も同じこと、考えてるんじゃねえの?」
 流星が目の辺りを押さえながら将暉に言った。

「ああ。図星だ。俺もネット上でも≪最低のT組≫とか言われちゃ黙ってらんねえ。」
 そう言う将暉の目が、メガネの下で光った。

「それで、どうしよっ、て、言うのさ。」
 自分の机に向かい、牛の絵を夢中になって描いていた広瀬鈴(ヒロセレイ)が顔も上げずに言う。

「鈴ちゃん。その喋りのテンポ、どうにかなんない?それに、漫画ばっか描いてないで、たまには外でも見てごらん。ほら、なつぞらがきれいだぜ。」
 次の瞬間、鈴の色鉛筆が流星の頭に刺さった。

「で、具体的に、どうするつもりなんだよ。」
 旬が流星の頭から色鉛筆を抜きながら言った。

「そうだな。まずは、担任を説得しないとな。」
 健が全員を見渡しながら言った。

「担任?あの、もじゃもじゃ頭か?」
 そう言った流星の頭を思いっきり叩きながら、もじゃもじゃ頭をした白木華(シロキハル)が駆け抜けていく。

「もじゃもじゃ頭のどこが悪い!」
 みんなを振り返った華は自分の頭を掻きむしりながら言った。

「話を進めよう。」
 将暉が教室の前に立ち、まるで担任のように話し始めた。
「いいか。学園祭にクラスとして参加するためには、担任の許可が必要だ。でも、あいつのことだ。こんなに多くの問題を抱えた3年C組の参加をOKするはずはない。何かあったら、自分の責任となって、出世は望めなくなるからな。」
 クラスのみんなを見回しながら話す様子には、クラスのみんなを納得させるだけの説得力があった。

「じゃあ、もう、無理じゃん。なんだ、盛り上がったのになあ。」
 朝からのノリノリ状態が嘘だったかのように、健ががっかりした口調でつぶやく。

「簡単にあきらめるな。最後の学園祭、盛り上がりたくないのか?」
 菅田らしい、最後まであきらめないタイプの発言が飛んだ。
 菅田の、メガネの下の目は、いつでも輝きを失わなかった。

「そりゃあ、盛り上がりたいけどよ〜。担任が許可しねえんじゃ、もう無理じゃん。」
 半ば投げやりになった健が言った。

「そう、担任は無理だ。でも、、、、」
 意味ありげに、メガネの下の目をきらりと光らせ、菅田が言う。

「でも?そうだ。大泉田って、今、なんとか休暇で、学校、来てないんじゃない?」
 馬の絵をようやく描き終えた鈴が言った。
 

「なんとか休暇?アッ、生理休暇か?」
 せっかくの、真剣な雰囲気を、流星が一気にぶち壊す。

「育児休暇!」
 と、中野愛依(ナカノ メイ・色が白い)がぽつりとつぶやいた。

「で、その入れ替わりが。。。」
と、再び、菅田。

「副担任!!」
 全員の声がそろう中で、流星だけが、
「古海監督。君の名はだ〜!!!」
と叫んでいた。
 すかさず、ジュンコのパンチが飛んだ。

「しかも、あの副担任は、つい最近、着任してきたばかりよ。」
 華がもじゃもじゃ頭を掻きながら言う。

「日も浅いから、俺たちの悪い評判も、知らないってわけだ。」
 健がそれに続く。

(何とかなりそうだ。)
 そう思った教室の空気を壊したのは菅田だった。
「いあ、しっかり知っているはずだ。」

 あからさまに落胆の表情で、健が言う。
「なんだよ。じゃあ、やっぱダメじゃん。」

「担任からの引継ぎがないはず、ないからな。」
 菅田の分析は的確だった。
 がっかりしたみんなを見渡しながら、こう続けた。
「けど、オレの情報では、あの二人、あまり仲が良くないらしい。」

(それが、俺たちの学園祭参加とどうつながるんだよ。)

3−C全員の頭に????が浮かび上がった。


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