第6章 俺は中村さんとセックス、ヤッた!-1
穂花の作戦は即実行であった。明日、明後日、次の休みなど悠長な事はしない。今日だ。昼休みにみんなを集め作戦を伝えた。
作戦と言っても簡単だ。2人きりの状況を作ってしまえばいいだけだ。それぞれが準備にかかり、夕方作戦は実行される。
「涼子さん、すみません、今日何か用事あります??」
隣の愛美が聞いて来た。
「別にないわよ?どうしたの??」
「今日中に終わらせなきゃならない付け合わせがあるんですが、今日ちょっと用事があって帰りたいんです。出来ればお願いしたいんですが…」
申し訳なさそうな愛美に涼子は快諾する。
「いいわよ?やっといてあげる。」
「すみません!助かります!」
愛美は書類を渡す。しかしその量が想像を超えていた。
(け、けっこうあるわね…。でも仕方ないか…)
パッと見て2、3時間はかかりそうな量だ。しかし若い子は色々忙しいと思っている涼子は、今日だけだしと思い引き受けた。
一方穂花は外出している隆文に電話をかける。
「すみません、岸田さん、湯川コーポレーションの試算と見積もり頼んでもいいですか?今日中なんですけど、彼氏が浮気を疑って修羅場なんです。今日行かないと怪しまれるし…」
それは我が身に関わる事でもある。隆文は即答する。
「分かった!バレたら最悪だ。うまくやってくれよな!?」
「ハイ!すみません!」
隆文も快諾して電話を切った。
「残業かぁ。ま、いつも遅いし変わんねーな。」
よく涼子の私物でオナニーする為に遅くまで会社にいる為、何て事はなかった。19時には会社に戻れそうなので、それからオナニーがてらに残業しようと思った。
隆文が会社に戻ると電気がついていた。たいていみんな18時半には帰る為、一体誰が残っているんだろうと思いながら事務所に入る。
「あ!お、お疲れ様です…!」
目を疑った。事務所にたった1人残っていたのは涼子だったからだ。心臓がバクバクして来た。
「ま、愛美ちゃんに仕事頼まれて、今日は残業なんです…」
隆文を待ち伏せしていたと思われたら恥ずかしいので弁明する。
「そうなんだ…。俺も穂花に仕事頼まれてこれから残業なんだ…」
「そ、そうなんですか…」
お互い動揺する微妙な雰囲気になる。隆文が机に座るとパソコンを開き仕事を始めた。
お互いが意識しながら無言で仕事をすると言う、居づらい雰囲気に包まれていた。