第6章 俺は中村さんとセックス、ヤッた!-3
この雰囲気なら大丈夫かな…、隆文はそう思い、一番の話題に踏み込んでみた。
「あの、中村さん…」
「は、はい…」
涼子もその話題が来ると思った。少し表情を強張らせてしまう。が、恥ずかしく視線を下に向けていた隆文は涼子の強張った顔を見逃した為、逆にラッキーだったのかも知れない。躊躇なくその話題を口にする。
「俺、中村さんに謝ろうと思って…」
「え?何をですか…?」
「ほら、去年の忘年会で宣言しちゃった事。酔っ払ったノリで言っちゃったけど、あんな事をみんなの前で言っちゃって、中村さんに恥ずかしい思いをさせちゃったなーって。その後も毎日のように言っちゃって、本当は嫌がってるんじゃないかって最近思えて来てさー。」
申し訳なさそうにそう言った。
「あ、私なら平気ですよ?岸田さん、冗談っぽくサラッて言うし、全然嫌じゃないですよ?」
「本当??」
「はい♪ジメジメねちっこく毎日言われたら嫌かも知れませんが、それがコミニュケーションみたいなものだったじゃないですか?させて?、ダメです♪って。けっこう楽しんでますよ?私。」
その言葉を聞いて少し気持ちが楽になった隆文の表情が明るくなった。
「良かったー。」
「ンフッ、そんな事気にしてくれてたんですね♪ありがとうございます。」
「いやいや…」
頭をかいて照れてみせた。
「いい人ですね、岸田さんて、やっぱり。女子に人気があるの、分かります。」
「そんな大したもんじゃないよ。」
そんな隆文を見てニコッとした涼子は、正直な気持ちを口にする。
「私、セックスって聞いてドキドキしちゃって。普通ヤル、ヤらないじゃないですか。私とセックスがしたいって言われて、ホントドキドキしちゃって…。でも私みたいなオバサンにそう思って貰えて嬉しかったんですよ?」
「俺、中村さんをオバサンと思った事、1度もないよ?魅力的ないい女だとしか思えないよ。」
涼子はポッと頬を赤く染めて恥ずかしげに笑った。
「お世辞でも嬉しいです♪」
「お世辞じゃないよ。俺はマジで誰よりも魅力的な中村さんとセックスがしたい!!」
少しおちゃらけ気味に胸を張って大声で言った。
「ヤダー、恥ずかい、もぅ…」
涼子はまた手で顔を仰ぐ仕草を見せる。この涼子の仕草が隆文は大好きであった。
ともあれセックスと言う単語が会話に出てきてもおかしな雰囲気にはならなくなった事に安堵した隆文。今日こそは…!と、この大チャンスを絶対に逃がさないと決心したのであった。