第4章 不倫-1
ある日曜日、涼子は高校時代の友人と食事をしていた。友人は榊原佐奈で、やはり働きながら主婦をしている、テニス部の同級生だ。これまでも定期的に会っている。
お互いの生活の事を色々話す中で、涼子は佐奈に隆文の事を話してみた。
「去年の忘年会で、酔っ払ってみんなの前で、私としたいって言った人がいてさー。」
そう言う話は大好きな佐奈は思い切り食いついて来た。
「えー!?本当!?で、しちゃったの!?」
「し、してないわよっ!もー恥ずかしくてさぁ…」
「どう言う人なの??」
「いい人だよ?みんなから頼りにされてるし、真剣な時とふざけてる時の切り替えがしっかりしてる人。」
「歳は?」
「41歳だっけかな…」
「イケメン??」
「うん。女子からは人気あるかな…」
「涼子の会社って若い子多いんだよね?それで人気あるって事はなかなかのオジサマなのね。」
「うん。でもオジサマって感じはしないかも。」
「えー!?じゃあ魅力的じゃない。会ってみたいなー♪」
佐奈は興味深々の様子だ。
「結婚は??」
「してるよ?お子さんもいるみたい。」
「そうなんだ。じゃあ安心だね。」
「何が安心なの??」
「だって、そんな魅力的なのに独身だったら、逆に疑わしいじゃん。よほどの遊び人か、性格的に難ありか、変な性癖あるとか。それで家庭がうまく行ってれば理想の旦那さんて感じでしょ?」
「家庭はうまく行ってるみたいだよ?単身赴任だけどたまに奥様来るみたいだし。」
「単身赴任なんだ。じゃあチャンスじゃん!あっちもきっと現地妻が欲しいんじゃないの?」
「現地妻って…」
「男の人はそーゆーものよ。41歳って言ったら、まだまだお盛んな人はお盛んだし。なっちゃえば?現地妻に♪」
「や、やだよぅ…。それに噂だけど、会社の女の子の何人かはもうそう言う関係になってる人いるみたいだし、私なんかと遊ばなくても女には困ってないだろうし…。きっとからかってるだけなんじゃないかって…」
「いやいや、そんな事ないと思うよ?男って若い子が好きってイメージあるけど、意外と30歳代の女の方が落ち着くって人多いみたいだし。」
「そうかなぁ…」
「そうだよ。ねぇ、その人今でも涼子としたいって言ってるの?」
「うん。ふざけながらだけど、会う度に言われる…」
「やっぱ本気じゃん!!その人、きっと本気で涼子としたいんだよ!」
「そ、そんな訳ないよー…」
自分から切り出した話だが、恥ずかしくなってしまった。