第4章 不倫-3
「間違ってたらゴメン…。佐奈って…」
しかしその先が言えない。しかし佐奈は涼子が言いたい事を察したようだ。自分からその答えを口にした。
「してるの、不倫。今。へへっ」
涼子にとっては衝撃的であった。言葉を失う涼子に佐奈は不倫について話し始めた。
「私も不倫とかダメな事だし家族を裏切る事だと思って軽蔑してたの。でも仕事でミスをして大騒ぎになった時、上司のその人が庇ってくれて。私の代わりに𠮟れてくれたの。でも気にすんな、ミスは誰もするもんだし、俺が確認しなかったんだから俺のせいだって言ってくれて。よくある何かを求めてくる事も全くなくて。その日以来、その人の事ばかり考えちゃってさ。お礼にって食事に誘ったんだけど、お互い家庭があるから2人きりで会うのは良くないって言われて、ますます気を惹かれちゃって。気付いたら私が好きになってたの。好きだと言う自分の気持ちに気付いたら、もう抱かれたくて抱かれたくて仕方がなくなっちゃってね、ある日強引に食事に誘った後、強引にホテルに連れ込んでエッチしちゃったの。不倫って後ろめたい気持ちになると思ってたんだけど、エッチした後、彼にギュッてされたらさー、まるで初めてエッチした後の時みたいな、幸せな気分になっちゃって、何て言うか、新鮮だったわぁ…。結婚して何年も経つとマンネリして、恋とかそんなのから随分離れてる自分がいて、でも彼に抱かれると、まだまだ自分も恋の中で生きて行けるんだって嬉しくなっちゃって。今でも関係続いてるし、お互いの家庭を守る努力もしてる。だからこんな関係もアリなんだなって思ってるトコなの、今。」
「そうなんだ…」
「不倫は外から見れば後ろめたいものかも知れないけど、でも中に入るとそこには純粋な愛があるものなんだなって。世の中にこれだけ不倫してる人がいて、この世から消えないのにはやっぱり理由があるのよね。それはきっといい不倫をしてる人にしか分からないものだと思うの。涼子は人間を見る確かな目を持ってると思うの。だからそんな涼子が認めた人なら、思い切って不倫してみるべきなんじゃないかなって私は思うよ?」
「うーん…」
わかった!とは言えなかった。しかし自分の事を真剣に考えてくれる親友の言葉はしっかりと受け止めた。
「佐奈、ありがとう。相談して良かった♪」
「うん♪」
2人とも高校時代と変わらぬ笑顔を見せた。その後、不倫の話題から離れる事になったが、2人の絆は変わらず強く結びついているのであった。