女らしく【03】『過去と思い出と恋心』-1
「ふあぁあ……眠ッ…」
現在、第6限『天文学』の時間……
オレは一応、陰陽師の血筋だからこんな授業も受けなきゃいけない……
隣りでは大和のすぅ…すぅ…という寝息が聞こえる……
ったく…幸せそうに寝やがって…
ああ…駄目だ…
コイツ見てたら、目の前がぼんやりとしてきた…
………
……
…
「おはようございます、誠様。時間です」
また…朝が来た……
オレはこの時間が嫌いだ…
夢の中では自由…
けど、お手伝いのこの言葉で現実に帰り、また家の為に男として辛く厳しい修行をしなくてはならない…
「本日は午後から誠様の式となられる方がいらっしゃいます」
「………」
そんなことどうでもいい…
親父の決めた奴だ…
どうせオレのことなんて考えもしないだろ……
午前中は体術の稽古…
覚えが悪いとすぐに罰が与えられる。
この日も罰として丸太に向かっての打ち込みを科せられた。
バシッ…バシッ…
辺りには丸太に蹴りを入れる音しかしない。
何でオレはこんなことをしてんだろ…
オレは女なのに……
そんなことを考えていると不意に背後から声をかけられた。
「何やってるんだ?」
「うわわっ!」
いきなりの言葉にびっくりして転んでしまった。
見ると、額に角をつけた同い年くらいの男が立っている。
「大丈夫か?」
「………」
恥ずかしさと苛立ちで答えたくなかった。