女らしく【03】『過去と思い出と恋心』-4
午後3時…
まだ来ない……
「昨日…殴りすぎたせいかな……オレ…嫌われたのかな……」
嫌な考えばかりが頭の中を駆け回る……
最初はさっさといなくなって欲しかった。
けど、今はアイツに会えないのが無性に寂しい……
「…大和の…馬鹿……」
道場の床にコテンっと寝転がる……
「……ふわあっ…」
いつの間にか寝てしまっていた。
「ん?…何だコレ?」
見ればオレの体には上着がかかっている。
良く見るとその上着は大和がよく好んで着てくるモノだった。
「大和の奴、こんなにデカかったか?……いや…大和だって男だもんな……」
自分の記憶にある大和よりも上着は大きくて、暖かった…
「大和……」
知らず知らずのうちに大和の上着を抱き締める…
「……う〜ん…あっ、マコト起きたのか」
「うわっ!大和いたのか!」
大和が隣りで寝ていた様だ。
慌てて、上着から離れる。
「そ、それより、大和!お前、今日は何で遅刻したんだよ!」
「悪い!ちょっとばかり寝過ごした」
ちょっとばかりって一体、何時間寝てたんだ?
しかも、また寝てたし……
でも良かった…嫌われたわけじゃないみたいだ………
「おーい、マコト…上着返してくれない?少し寒くて…」
「あっ…ごめん。ありがと…」
大和に上着を返して、二人とも道場の壁にもたれかかる。
「なぁ…大和。聞きたいことがあるんだけど…」「何だ?」
前から聞きたかった……
「何でお前は、毎日此所に来るんだ?オレの式になれって言われたからか?」
大和は少し考えて答える…
「式になれって言われたからじゃなくて、俺はお前に会いに来てるんだ」
えっ……
大和は続ける。
「俺さ、頭にこんなのついてるじゃん。だから友達っていなかったんだよね。
だけど、マコトは怖がらなかった…
マコトは俺の初めての友達なんだ」
そう言うと笑いながらオレの方を見る…