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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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9月:ドイツ-10


小川君の車に乗って、少し走ったところで

「ごめん」

そう小さく、私のほうを見ないで言った。

「誓ってリサとは何もないから」
続けてそう言うけど、
秋田さんとあんなことがあった私は、何も言えない。

窓の外を流れる異国の景色が
今起こったことさえも夢の中のようで

小川くんは、仕事とはいえ一人で海外に来て
言葉も慣れないドイツ語で、仕事も、仕事仲間も生活も・・・
なにもかも慣れないところで小川くんはどれだけ頑張ったんだろう。

ううん。頑張っているんだろう。

そんな小川くんを、彼女は仕事でもプライベートでも支えてあげられると言い切った。

「彼女、小川くんのこと『恭平』って呼ぶのね」

でもそこが引っかかって
窓の外の景色に吸い込まれそうなほど小さい声でそう言った。

「こっちは・・・研究員同士も名前で呼ぶから」

言い訳のように聞こえたその言葉は
私が言った言葉のように景色に吸い込まれていった。

ドイツは、私にとっては異国で旅行地で。

でも小川くんにとってはっもう生活する土地なんだね。

私はため息をつかないようにするのが精いっぱいだった・・・





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