女の手紙 ・ その3-2
そこは、一般的な斡旋派遣クラブとは少し異なっていた。
高級を売り物にするために、それなりの女達が集められていた。
故に、冴子が君恵を誘ったのは、
君恵にはその素質があると見込んだからである。
冴子自身も、短期大学を卒業して教師の免除を持っていたが、
付き合っていた男に騙されて落ちぶれてはいたが、
見た目は美しい顔をしていて、一見ではそのようには見えない。
見栄を張り、
高級なモノを買い漁る癖の抜けない冴子は債務に追われていた。
その返済の為に、クラブの関係で身体を売って報酬を得ていた。
経営者の唐沢にとっては、
良い女を派遣すれば相手からはそれなりの収入が得られる。
それ故に、初心者の君恵に手ほどきを教えようということなのだが、
彼自身が君恵を気に入り、
客に派遣する前に指導と称して、自分で君恵を楽しもうという魂胆である。
何人かの女を派遣する前に、
自ら楽しんだ女たちに比べて、君恵は最高の部類に属する女だった。
それは、顔やスタイルは当然として、
君恵が持っている生まれつきのものかもしれない。
それは美しく気品があり、素直でおっとりしており、
柔らかく男を包み込むような何とも言えない優しさがある。
さらに君恵の身体は素晴らしかった。
こういう女は特に需要が多かった。
当然、事務所としては金になる。
今、唐沢の事務所と同じ階にある別室に唐沢と君恵がいる。
君恵は唐沢に言われて下着だけになっていた。
君恵は唐沢の服を脱がせるように言われていた。
「あの、唐沢様の着ていらっしゃいます上着でよろしいのですか?」
「そうです、その上着を丁寧にスタンドにかけてください。
それから、その前にお客様の前で下着のまま、
床に三つ指を付けて頭を下げて下さい、それがお客様のご挨拶になりますからね」
「あ、はい……」
「それから、丁寧にお辞儀をしてから、こう言って下さい」
「はい」
「貴女の名前は君恵と言いましたね」
「はい、そうですが……」
「ご主人様、わたくしは君恵と申します、
今日はよろしくお願いいたします、といってください」
「そう言うのですね、かしこまりました」
「その後のことですがね、君恵さん」
初めてのことに君恵は戸惑ったが、理解しようとした。
もとは大学教授の夫人としての自分、
本来ならこんなことをするような自分ではなかった。
見も知らぬ男に、下着姿で床に三つ指をついて頭を下げることなど
奴隷女のようだった。