Happy Days〜再会の日〜-2
「おう、ナンパか蒼! ようやくお前も目覚めたか〜♪ お兄ちゃんは嬉しいぞ〜」
「おわっ! いきなり出てくんなよ!!」
気付くとすぐ横で嬉しそうに目頭を押さえる晃が…。
「んじゃ失礼しま〜す♪って言っとくか。えっと、大内さん…で良かったかな?」
「うん、でも茜でいいよ♪」
「わかった、俺も晃でいいから」
笑顔で自己紹介を交わす二人。
だけど一つだけ気になる事がある。
「なぁ晃、さっきのコ達は?」
「ん? あぁ、彼女達へのサービスタイムは決めててな、それ以外は遠慮してもらってる」
なるほど、晃も大変なんだな…。
と言うかいつの間にそんな取り決めを。
すると晃が思い付いたようにニヤニヤし始める。
「まぁ、変わって欲しけりゃいつでも変わってやるぞ♪」
「無理だし、絶対に変わりたくもない」
「そうか、残念だ…」
そんな心底残念そうに言われても…。
まぁ、本当に変わってほしいんだろうが、それは無理だ。
せいぜい頑張れ、晃!
「お姉さまお疲れですか?」
バキッ!
「ぐあっ!!」
綺麗な右ストレートが晃の顎に…。
「そんなにお姉さまが嫌なら止めさせりゃいいのに…」
今は学校からの帰り道、悶絶する晃をほっといて歩き続ける。
「そろそろ言うわよ。なんで初っ端から私の穏やかな高校生活が乱されるハメに…」
「まぁ、外見を得た代償だな。我慢するしかねぇだろ」
「そうね…」
「彼氏でも作ればおさまるかもしれんがな」
姫乃はかなり疲れた様子で落胆していたが、俺の一言で顔を上げる。
心なしか目が輝いてませんか…?
「それじゃ蒼が彼氏役やってくれるって?」
あぁ、なるほど。そういう事か。
「冗談だろ? 釣り合って見えないよ。その役やらすなら晃が適任だな」
これは本音だ。
俺と姫乃じゃ恋人を演じても疑われるだけだろうが、晃となら頷けるからな。
「そう、冗談よ」
何でちょっとはぶててるんだ…?
ん〜、わからん。
「今俺を呼んだか?」
「うぉっ、いつの間に!?」
さっき悶絶してたはずの晃がいつの間にか復活して追いついて来ていた。
「晃も晃で大変そうね〜」
「まぁな。でも異性なだけに聞き分けが良くて助かる」
「確かに。同姓だと多少聞き分け悪くなるみたいね」
なるほど…、確かにそうかもしれない。
同姓だと変な遠慮が抜けやすいからな。
「二人とも苦労するな…」
「それより蒼、あのコどうなの?」
「あのコって…?」
姫乃がニヤニヤしながら聞いてくるが誰の事かいまいちわからない。
「大内さんよ♪ 話してたじゃない?」
「あぁ、茜か。どうって…、普通じゃないか?」
何がどうなのかわからないが…、俺は何を聞かれてるんだ?
「ふ〜ん…、そっかぁ…」
ちょっと考えるような仕草…。
いったい何なんだろう…。