女らしく【02】『デートと仲間と邪魔者』-6
綺麗だな…この人……
顔だけじゃなくて、雰囲気とか心とかも……
「あなたは誰か待ってるんですか?…彼氏ですか?」
「うん…まあね。私もデートだったんだけど途中ではぐれちゃって。
まったく…アイツは何処をフラフラしてるんだか……
久しぶりに帰ってきたから出掛けたのに……」
すねた様な、ふて腐れた様な感じで答える。
「久しぶりって、留学とかですか?」
「まあ…そんなとこかな。
あっ…あそこでキョロキョロしてるのあなたの彼なんじゃない?」
視線の先には浮かない表情をした大和が辺りを見回している。
「大和…」
アイツはいつも、オレのことを心配してくれていた…
「行って謝っておいで。
大事なことは早く言っておかないと後で必ず後悔するよ。
私は実際に後悔しそうになったから分かるんだ…」
そう言って少し寂しそうな目をしている。
「これ、ありがとうございました。オレ…アイツに謝ってきます」
ハンドタオルを返して大和に駆け寄る。
「頑張りなよ…」
不意にマコトのいた場所に影な黒い服を着た男が現れる。
「此所にいたのか。探したぞ!まったくフラフラするなよ。心配するだろう」
「アンタがフラフラしてたんでしょうが…
はあ〜…アンタにも今の娘みたいな素直さがあればなぁ……」
「何を言ってるんだ?早く行くぞ」
「三年も待たせて……本当にアンタは変わってないね」
「…変わってて欲しかったのか?」
「………ううん、前と変わらない方がいい…」
「くっくっくっ……お前は綺麗に変わったがな♪」
「…ありがとう…馬鹿悪魔♪」
人込みの中に手を取り合った一組のカップルが消えていく………
再び会えた幸せを噛み締めながら………
大和の姿は雑踏に紛れて見失いそうだった。
けど、オレは見失うわけにはいかない!
「大和!」
今にも何処かへ行ってしまいそうな大和の腕を掴み、引き止める。
「大和、ご……」
「マコト、ごめん!」
謝ろうとしていたオレよりも早く、大和が頭を下げた。
な、何で…大和が謝るんだよ…悪いのはオレなのに…