女らしく【02】『デートと仲間と邪魔者』-3
「うわわっ!や、大和…いきなり何してんだよ!」
「悪い…嫌だったか?」
慌てて大和の手が離れる。
「あっ!ち、違う…ちょっとびっくりして……」
未だ軋む様に脈打つ心臓を押さえて告げる。
「だ、大丈夫だから…嫌じゃないから…お願いだから……もう少し…繋いでてくれ……」
自分の顔が異常に赤くなっているのがはっきりと分かる…
「分かった。じゃあボ〜ッとしてないで行くぞ」
再び掌から大和の日だまりにも似た温もりが伝わる。
大きくも、どこか繊細な指先。
暖っかいな…大和の手……
「いらっしゃいませえ〜!」
来たのは近くのファミレス。
まずは昼飯を食べ、これからの行き先を決めることになった。
「この後はどうするんデスカ?」
ラーメンとパフェを交互に食べるというなかなかマッドな食事を披露しながら博士が尋ねる。
「オレは何処でもいいぞ」
「ワタクシもマコトと同じですわ」
真っ赤な血──じゃなかったトマトジュースを飲みながら奏が言う。
「じ、じゃあ……この間出来たって噂のショッピングモールはどう?
あそこなら映画館とかもあるし……」
「晴樹…場所知ってんのか?」
晴樹は返事の代わりに無言になる。
「はい!私、知ってます!私が案内します!!!」
突然の申し出。
全員が詩乃に注目した…
「……本当デスカ?」
「もちろん!」
多分、今オレ達全員の頭の中には同じことが浮かんでいるはず……
『絶対、道に迷う』
詩乃は人狼のくせにかなりの方向音痴……
今までの経験上、詩乃に道案内されて目的地に着いたことが一度も無い……
「酷い!…みんな私を信じてない…」
「…だって、なあ…」
「今回は大丈夫!すでにそこに二回程行ったことがありますから!信じて下さい、お姉様!!!」
そう言って、オレの両手を握り絞める。
「何でオレ限定なんだよ!…痛っ、痛い!分かった!詩乃を信用するから手を離せ!」
「やっぱり、私のことを信じてくれるのはお姉様だけです!では、今すぐ行きましょう!」
そう言って、みんなを急かす。