第3章-4
しばらくして幸は口を開いた。
「もし、もしその場合でも、旦那様は幸のお相手をしてくれるのですよね、もう一人の方と」
「もちろんそうだよ、私と幸ともう一人の男と一緒だ」
「わかりました、あの……その人はどのような方でしょうか?」
「昔から知ってる親友だ、安心しなさい」
悠太郎は幸が受け入れたことで安心した、
しかし、まだその先の話がある。
「それと、もうひとつ、言っておきたいことがある、後で幸が困惑しても困るからな」
「あ、はい……」
悠太郎の言葉を聞いて幸は動揺したが、
ある程度の覚悟は出来ているつもりだった。
この家で貰う報酬は魅力だった、
その金で娘を授業料の高い塾に通わせているという事情がある。
しかし、悠太郎の言う言葉を聞くのが怖い。
「その男はSといってな、女を縛ったりすることが好きなんだよ」
「し、縛る、ですか?」
「そうだ」
「そう言う世界があるってことを、知らないわけでは無いだろう、幸」
「あっ……はい」
「そう言うことだ、幸、お前を縛るということだ、分かったな」
「は、はい、旦那様」
幸は目が眩むような気がして、思わず悠太郎にしがみ付いた、
そして言った。
「旦那様、でも、どんなことがあっても幸を捨てないでください、お願いします!」
幸は泣きながら悠太郎に抱きついていた。
悠太郎は幸を抱きながら、幸の黒髪を撫でていた。
彼は、健治が幸をどのようにするのか、まだわからなかったが、
何故か興奮している自分がいる。