夢の狭間-6
「現実に帰るのは葉月じゃな?それでは葉月を現実に引き戻す」
葉月はオレの目の前から消えた、俺との一方的な約束をのこして。
こんどは真っ暗になった、もはや全ての感覚がない、しかし爺さんの声がどこからか響く。
「残念じゃったな、そこで、ワシの可能な限りで願いを一つかなえてあげよう」
いまさらなんだと気もしたが、俺は一つ念じた。
「ほっほっほ、いいじゃろう、じゃいくぞい」
オレは道の真ん中に立っていた、体は半透明だったが。
オレの頼んだ願いは葉月の未来、一方的だったが約束を守ってくれるかどうか見に来たのだ。
しばらくすると葉月が見えた、また図書館でも行くつもりなのか書類を持っている。しかしオレは葉月が全然成長していないのに疑問を感じた、なんか有名になったトコでも見せてくれるだけでいいのに・・・
そうしている内に葉月の手から書類が一枚風に舞った、それを拾いに走る葉月―。
それがオレの見た、生きている葉月の最後だった、交差点から飛び出した葉月はそのまま大型トラックに。
結局、オレと葉月の約束もかなわぬまま、どこかの狭間に落ちていった。