夢の狭間-5
「わ、チョ、ちょっと待った、そんなことをしてもここからは出られんぞ!」
「じゃどうすれば出れるんだよ。」
オレはさらに迫る。
「まずは離しとくれぃ。」
とオレの手を振り解くようにし、離れる。
「ふぅ、ふぅ、戻したいのはやまやまじゃが、ここの狭間は結構深い。だから出るためのエネルギーを調達しなければ出れん。」
オレは早くこんな真っ白いところから出たかった、ただでさえ理性を保つのにいっぱいだった。
「で、そのエネルギーはどう調達するんだ。」
オレはイライラしながら言う。
「今日は運が良くてな、もう一人狭間に落ちた子がいる、今その子の夢の世界と繋げる、そやつの魂がエネルギーになる。」
オレは衝撃を受けた。
「って事はオレは一人殺らなくてはならないという事・・・か?」
「そうじゃ、それじゃ始めるぞ。」
「ちょっ、ちょっと待てよ」
しかし、爺さんはまってくれず、目の前に人影が浮かんだ。
「信・・・くん」
「葉月?」
そこには葉月が制服姿のまま立っていた。
「それでは葉月くんもあっちで説明は聞いておるな、言っておくがココは夢の方の感覚のが近い、では始めてもらおう。」
といい、爺さんは姿を消した、そして二人きりに。
オレははどうしても葉月を殺めることなんてできない、ここから出たいけど、どうするか。
「なぁ、葉月」
と葉月をみると、葉月はすごく悲しい目をしていた。
「信くん・・・ゴメンね」
葉月が言うのとほぼ同時に胸に異物を感じた、そして俺の体がゆっくりと倒れていく。
「本当に、ゴメンなさい。でも私には、私は、目標を達成したいの!」
葉月は泣きながら叫ぶ。
オレの胸には光で出来ているらしい棒が心臓に一直線にささっていた、夢に近いってこうやってなんでも出したり出来る事を言うのか・・・?葉月は泣きながら言葉を続ける。
「私、信、くんの事、絶対に忘れないから・・・絶対有名になるって約束するから!」
言い終えたとたん葉月の体がだんだん薄れていく、俺の体も一緒に、そして頭のなかに直接爺さんの声が響いてきた。